株式会社ビジョンゲート
高いレベルのサービス提供と、ワーク・ライフ・バランスの両立を目指して

「こどもクリエ塾」に込められた思い

 「こどもクリエ塾」という学童保育サービスを提供する、株式会社ビジョンゲート。「こどもクリエ塾」は、国際的に通用するリーダーシップと創造力を育てることを目指した、最長22時まで滞在可能な、民間学童保育スクールです。

 

「クリエ」には、

  • ・クリエイティビティ(Creativity:新たに創造すること)
  • ・リーダーシップ(Leadership/Initiative:仲間の心を動かし、率先して行動すること)
  • ・エクスパンディド アウェアネス オブ ワールド カルチャー(Expanded awareness of world cultures:広い視野で世界を認識すること)

の3つの意味が込められています。

 

 現在、国内で5校を運営、加えてバンコクにも1校を開校しています。塾がこれまで指導したお子さんは2千人超。「保育」だけではなく本物の学びを提供したいという思いが保護者の心を捉え、キャンセル待ちが出るほどの人気となっています。

 代表取締役の遠藤氏は、当社設立前は、一般企業で研修やコンサルティングサービスに従事していました。そこで、優秀な女性たちが、結婚や出産で退職を余儀なくされるのを目の当たりにし、「やりたいことを我慢しないで子育てできる環境をつくりたい」と考え、起業を決意しました。

校舎内の風景。学びと遊びの空間がある。

 

メリハリのある働き方を可能にする仕組みづくり

 「子どもが自分で考え実践する」ことを大事にする「こどもクリエ塾」。そのためには、スタッフにも相応のスキルが求められますし、心に余裕を持ってじっくり子どもに向き合う時間も必要です。

 多くの保育・教育現場は労働集約型で、長時間労働になりがちと言われますが、当社ではメリハリのある働き方が徹底されており、設立以来、1ヶ月の残業時間は年間平均では1時間未満におさまっています。その実績が評価され、2019年度に港区ワーク・ライフ・バランス推進企業の認定を受けました。

 では、どのような工夫がなされているのでしょうか。

 

①子どもや保護者と接する時間以外の業務効率化

 お子さんと保護者に対応する時間をしっかり確保するため、シフト作成や経理事務といった管理業務は徹底的に効率化しています。2022年からは保護者との連絡をすべてシステム化し、新規問い合わせや入会手続き、予約管理、請求書発行、お便り配付等を一気通貫で行い、さらにスタッフの勤怠管理とも紐づけました。初期費用はかかりましたが、これにより、毎月20時間以上の時間短縮が図られました。

社内システムの画面。保護者向け案内ページと連動させ、業務効率化を実現。

 

②「やらないこと」の明確化

 現実的に経営資源が限られる中で、利用者に満足してもらうために、「やらないこと」を決めています。たとえば、ご利用検討中の方向けに開催する説明会は毎月定期開催し、営業中の見学や電話対応は原則としてお断りしています。これは、子どもたちの安心を最優先するとともに、「スタッフに目の前のお子さんとのかかわりに集中してほしい」という願いからです。

 また、円滑な運営のため、基本的に入会前の個別対応はせず、業務は平準化しています。それも含め、説明会では当社の考えをしっかり説明するようにしています。

 

採用と配置、育成の工夫

 さて、「経営とワーク・ライフ・バランスの両立」に向け、当社ではサービスを支えるスタッフの確保・配置・育成にも気を配っています。

 上述のように、当社は学校が終わってから(長期休暇中は朝8時から)最大で22時まで子どもを受け入れています。1人のスタッフがすべての時間帯に対応するわけにはいきません。そのため、現場業務を細分化するとともに、その業務に対応できる短時間勤務のパートタイマーやアルバイトを多数雇用し、それぞれに明確な役割を与えています。

採用に当たっては、資格の有無より、人柄や当社理念への共感度合いを重視します。採用後に丁寧に育てればよい、という考えです。とは言え、ミスマッチのないよう、入社前には勤務体験をしてもらい、入社予定者と会社双方が適性を確認する場をつくっています。

 パートタイマーやアルバイトは、保育・教育系の大学生の他、子育て・子ども向けボランディア経験者を歓迎しています。人材獲得競争激化の中、採用は簡単ではありませんが、70代まで幅を広げて募集しています。70代のスタッフには、まずは短時間から、おやつの配膳や送迎を担当してもらい、慣れてきたら徐々に勤務時間を伸ばし、業務の種類も増やします。シニア世代は、やりがいを感じると喜んでくれており、現在は70代のスタッフが3割を占めるまでになりました。

 多数の短時間勤務者をマネジメントするのは、正社員の校舎責任者です。ただし、正社員に負担がかかりすぎないよう、周辺業務はパートタイマーに任せられるように、常に業務の見直しと、パートタイマーの能力開発を図っています。

 

有事のときこそ、理念に従う

最近、当社の存在価値が大きく発揮されたのは、2020年の新型コロナ感染拡大時の小学校臨時休校時でした。2月27日の政府発表後、翌朝から子どもたちを受け入れるために、必死で体制を整えました。利用者ご家族にはエッセンシャルワーカーも多くいましたが、「こどもクリエ塾」のおかげで安心して働くことができ、その子どもたちも学びが継続できたとの声が寄せられました。

 このような対応ができるのは、普段から利用者ご家族との信頼関係があり、「有事の際は何とか役に立ちたい」という思いが、職場全体に浸透しているためと考えます。これからも、当社は、子どもたちには安心と創造的な学びの場を提供しつつ、その保護者が仕事と家庭を両立できるよう、応援し続けます。

 

株式会社ビジョンゲート  https://visiongate.co.jp/clie/

【所在地】東京都港区白金台3-16-11 峯岸ビル2階

【創業】2010年4月

【代表者】代表取締役 遠藤奈央子

【従業員数】正社員6名、パート・アルバイト・契約社員等53名(2023年11月現在、日本国内のみ)

【取材日】2023年12月5日

「令和元年度 港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定」