マヴィ株式会社
~社員一人ひとりを大切にして実現した新たなワーク・ライフ・バランス~
企業概要
マヴィ株式会社は、1998年に現代表がオーガニックワインの専門商社として設立しました。当社では、ぶどう栽培から瓶詰めまで一貫して行う選りすぐりのオーガニックワインを、常時200種類以上も取り揃えています。ワインを最高の状態で届けたいという思いから、法人販売に当たっては地域特約店制を採り、小売は直営店舗(2005年に港区赤坂に開設、2023年に目黒区中根に移転)、及び通信販売で行っています。
社名の「マヴィ」は、フランス語で「私の人生」という意味です。この名前には、ワインを楽しむお客様や生産者だけではなく、社員の人生をも大事にしたいという思いが込められています。
ワーク・ライフ・バランスに取り組み始めたきっかけ
当社がワーク・ライフ・バランスを意識し始めたのは、2011年、一人の女性社員が出産退職を申し出てきたことがきっかけでした。その社員は、同僚に迷惑がかかることを心配していましたが、代表は本人を引き留めるとともに、これを機に働きやすい環境を整えようと、社内制度や職場環境を見直すことにしました。
もともと代表は、前職で海外駐在の経験が長く、また海外の生産者とも密な関係を築いていたことから、日本企業でしばしば見られる画一的で硬直的な働き方に疑問を持っていました。そこで、正社員のまま短時間勤務ができる制度を導入したり、副業を認めたりするとともに、プライベートで挑戦したいことや困ったことがあれば遠慮なく相談するよう社員に呼びかけました。
その取組が評価され、2013年には、港区ワーク・ライフ・バランス推進企業に認定され、以来、目黒区に移転するまで更新を続けてきました。
コロナを機に、さらに働き方を変える
2020年、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、当社も大きな打撃を受けました。人が集まらないとワインを飲む機会は激減しますし、直営店も長期間に渡り閉めざるを得ませんでした。
しかし、事業をストップさせるわけにはいきません。生産者対応や通信販売の拡充など、やるべきことは多々ありました。そこで、当社ではテレワークを実施し始めました。
実は2011年の東日本大震災後、社員がしばらく出勤できなかった際も、各種の連絡を在宅で行ったことがありました。こうした経験から、2018年に代表はテレワークに向けた環境整備を考えるようになりました。リスク対応以外にも、遠距離通勤で奪われる体力と時間は無視できないと感じていたのです。
当時は、今ほどIT技術が発達していたわけではなく、多くの社員は「出勤せずに仕事ができるはずはない」と思っていました。しかし、コロナ前年の2019年にツール選定と試験運用まで終えていたことが、スムーズなテレワークへの移行につながりました。
当社業務は、生産者との連絡、仕入・販売、プロモーション、輸送や在庫管理、総務・経理など多岐に渡りますが、テレワークで主に使うツールは、タスク管理ツール、スマホを固定電話として発着信可能とするツール、Web会議ツール、ビジネスチャットツールです。特に、タスク管理ツールの導入により、業務の整理とタスクの明確化が進み、情報共有もスムーズになりました。
特約店とはオンラインで打合せを行う
オフィス廃止、そして完全テレワークへ
当社は、コロナの感染拡大が懸念された2020年2月に本社オフィスをクローズし、同年7月末にオフィスの完全廃止に踏み切りました。これによりオフィス維持費が削減できたとともに、通勤時間が無くなった分、社員はよりゆとりをもって業務に取り組めるようになりました。さらなるワーク・ライフ・バランスが実現したのです。
現在、社員のうち3名は、地方に住みながら業務に従事しています。なかには当社に勤務しながら、副業で農業を行う社員もいます。代表自身も、海外と日本との2拠点生活を送っています。
完全テレワーク化によって、コミュニケーションや社員育成など、新たな課題も見えてきましたが、根本にある「社員の人生を大事にする」という文化が、当社の定着率を高め、組織の安定にも寄与しています。
試飲会にて。フランス ブルゴーニュ地方の生産者と代表の田村氏(右)
マヴィ株式会社 https://mavie.co.jp/
【所在地】東京都目黒区中根1丁目23-5
【設立】1998年3月
【代表者】代表取締役 田村 安
【従業員数】正社員9名、アルバイト3名(2024年8月現在)
【取材日】2024年9月2日