株式会社イー・ブレイン
より質の高いサービスの提供に向け、全社で進めた取組

株式会社イー・ブレインは、2004年に設立された、ドキュメントのアウトソーシングを事業内容とする企業です。主に企業で取扱う提案書、企画書、教材などのデサイン・制作・印刷や、RPA導入による業務効率化等をサポートし、それにより、お客様自身が戦略を練ったり新たなアイディアを検討したりする「価値創造時間」を生み出すことを目指しています。

従業員数は149名で、うち65%が女性です。従業員のうち約9割は、お客様先に常駐するスタイルで働いています。

 

ワーク・ライフ・バランスに取り組み始めた背景

そんな当社がワーク・ライフ・バランスを意識し始めたのは2018年3月期。当時、売上こそ順調に伸びていたものの、目標とする利益を上げられていませんでした。

原因は推測できました。売上重視で受注拡大を狙う一方、適切な業務管理ができていなかったこと、従業員の早期育成に向けジョブ・ローテーションを頻繁に行ったため作業効率がかえって悪化してしまったこと、そのせいかベテラン従業員の退職が相次ぎ、代わりに新人を採用したものの、すぐには先方が望むサービスが提供できず、そのリカバリーのため時間外労働が増えてしまったことなどが考えられました。

これに危機感を持った当社は、「お客様、社会、そして従業員を大切にする企業でありたい」という基本に立ち返り、すぐさま改善に向けた取組に着手しました。

 

取組に向けた推進体制

はじめに当社が行ったのは、経営トップからの方針発信でした。働く環境の改善に向け全社的に取り組もうと、従業員向けメール、社内ポータルサイト、社内報(年4回発行)などで発信しました。これによって従業員にも問題意識が共有されました。

その継続に向けた体制も構築しました。まず、月に1回、時間外労働実績と年次有給休暇消化日数を、管理部門が経営会議(部門長以上の管理者など約10名が参加)に報告します。部門長はそれを受け、部門直下にあるチームの長に、時間外労働が長かったり、休暇が取れていなかったりするメンバーを抽出し、その原因を探り対策を取るように指示します。チーム長はそれを踏まえ、チームメンバー間の業務量や役割分担を調整したり、業務上の相談に対応したりし、その結果を部門長に報告するというサイクルを確立しました。実際に定着するまでは、2年ほどかかりました。

併せて、従業員の育成方針も見直しました。ジョブ・ローテーションは最小限にとどめ、習熟度を高めることを優先しました。基本スキルを落ち着いて学べるようになったことで、従業員のスキルの底上げが叶いました。

では、業務量や納期面で明らかに対応が難しい案件があった場合はどう対応するのでしょうか。そのときは、直接部門長がお客様と折衝し、調整を図るようにしています。当社が普段から満足度の高いサービスを提供し、業務効率化に向けた提案もセットで行うなど、お客様との信頼関係ができているからこそ、それが可能となっています。

 

社内報は、ビジョンや情報の共有のための大事なツール(※画像は一部加工しています)

 

 

従業員の参画も促進

ワーク・ライフ・バランス実現に向け、従業員が積極的に意見を出せるような仕組みもあります。

代表的なものとして、「労使協議会」と「従業員アンケート」があります。前者は、社員会(非管理職の正社員で組織)の代表者が、経営トップと3ヵ月に1回協議をするものです。後者は年に2回(年度初め・年度中間)に実施します。アンケート結果は全て経営陣が目を通し、フィードバックも行なっています。

客先常駐の従業員が多いため、もともと方針徹底と帰属意識醸成を目指して行われていましたが、ここで出された意見を参考に、新たに導入された両立支援制度もあります。たとえば、2021年から、当社では育児短時間勤務制度の期間を、「子が小学校就学の始期に達するまで」としました(法定は3歳まで)。従業員には大変喜ばれています。

 

 

ここまでの取組結果、そしてその先に向けて

取組は徐々に成果を上げました。当社は2021年に東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業制度」を利用し、「1人当たり時間外労働月平均10時間以下・年次有給休暇取得率60%以上」という宣言を行っていましたが、1人当たり時間外労働は、2018年3月期の15.9時間/月から、2022年3月期には6.7時間/月まで減り、また休暇取得率は、同じく53.7%から79.2%に伸びました。従業員の定着率も、87.9%から91.4%にアップしました。

そして、当社は2021年度の港区ワーク・ライフ・バランス推進企業に認定され、さらに2022年3月には、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定(3つ星)」を受けました。採用面接でも、応募者からえるぼし認定について話が出るようになるなど、優秀な人材確保に向けた呼び水になっています。

2024年に創立20周年を迎える当社。お客様、社会、そして従業員をも満足させる「質の高いサービス提供」に向け、これからも着実に歩みを続けていきます。

 

 

株式会社イー・ブレイン  https://ebrain-dos.com/

【所在地】東京都港区虎ノ門4-1-10 青木ビル4階

【設立】2004年3月

【代表者】代表取締役社長 赤池 克之

【従業員数】149名(2022年4月現在)

【取材日】2022年12月12日

「令和3年度 港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定」