ダンウェイ株式会社
~障害者雇用から考える、皆が力を発揮できる環境づくり~
当社設立のきっかけとビジョン
ダンウェイ株式会社は、2011年に現代表が神奈川県川崎市に設立した、障害者就労支援事業(就労移行支援、就労継続支援B型、自立訓練)や障害者就労定着支援事業、障害児支援事業(放課後等デイサービス)を中心に行う企業です。
代表が当社を設立したのは、代表のお子さんに知的障害があると分かったことがきっかけでした。あるとき、お子さんを預けていた保育園でテストが行われたのですが、代表にはそのことは知らされず、お子さんもテストを受けることができませんでした。この出来事を通じて、代表は、「障害は、自分の意思に関係なく、周りが“この人にはできない”と決めたときに発生する」と痛感し、このままではいけない、障害児・者の「親なき後の安心した暮らし」を実現しようと、当社の設立を決意しました。
そんな当社のビジョンは、「その人なりの自立の実現と地域共生」です。「人間は必ず得意なことがあるはずで、それをしっかり認めて伸ばす。一方、苦手なところは得意な人に任せられるようにサポート体制を整える」ことを大事にしています。もっとも、そのためには、障害のある人について知り、理解してもらうことが欠かせません。そのため当社は、地域の方との交流を図ろうと、商店街のなかに事業所を構えました。これらの取組によって、障害のある人が力を発揮できる環境づくりを目指しています。
商店街の中にある事業所
当社のワーク・ライフ・バランス
当社の「皆が力を発揮しやすい環境づくり」は、社員自身の働き方にも生かされています。
その象徴的な例が、当社の最初の社員である、進行性の視覚障害のある女性です。代表は、設立直後の当社の求人に応募してきた彼女が、ビジョンを体現する存在になると確信し、働き続けられる環境を作りました。具体的には、通勤に不安を持つ彼女のために、通勤ラッシュを避けた時差出勤や、週4日勤務、さらには完全在宅勤務ができるよう、体制を整えたのです。「決まった時間、決められた場所にいる」ということより、「どれだけ力を発揮できるか」を考えた結果でした。また、彼女には、業務の進め方について大幅な裁量を与え、長期スパンで仕事のスケジュールを組み立ててもらいました。成果を出した彼女は、2024年10月に役員に就任しました。
裁量を与えたのは、彼女に対してだけではありません。当社ではプロジェクト型組織を採用し、各マネージャーの裁量により業務を進められるようにしています。さらに、社内独自のマネージャー候補認定制度を設計し、育成を図っています。
このような権限移譲と能力底上げ、柔軟な個別対応により、労働生産性は上がり、残業時間は大幅に削減されています。育児休業からの復帰率は100%ですし、高齢になっても働くことができ、現在の最年長社員は73歳です。
以上の取組が認められ、障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する国の「もにす」認定や、川崎市で女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでいる中小企業のための「かわさき☆えるぼし」認証を受けています。
「この人には難しいのでは」という先入観の排除を
障害者の法定雇用率が引き上げられるなか、当社の障害者に対する就労支援も注目されています。その一つとして、当社では、2020年、能力の「見える化」により個々のキャリアをサポートするための電子カルテ・ツールである「シームレス バディ」をリリースしました。このツールは、障害者の能力の可視化により、合理的配慮や適正配置・能力開発の提案を行うもので、設立時からの障害者支援によって得られた知見を結集して開発されました。
「この人には難しいのでは」という先入観をいかに排除し、持てる力の発揮を促すか。ワーク・ライフ・バランスにもつながる課題解決へ向け、当社は挑戦を続けています。
沖縄県名護市と連携し、シークヮーサー果汁100%の販売・発送作業も行う
ダンウェイ株式会社 https://www.danway.co.jp/
【所在地】神奈川県川崎市中原区新城1-12-15 アムールスクエア新城
【設立】2011年1月
【代表者】代表取締役社長 高橋 陽子
【従業員数】正社員17名、契約社員・パートタイマー8名(2025年3月現在)
【取材日】2025年3月18日