株式会社タレントアンドアセスメント
株式会社タレントアンドアセスメント
AI面接サービスで
本来の資質を可視化する採用を
株式会社タレントアンドアセスメント
代表取締役山﨑 俊明さん
代表取締役
山﨑 俊明さん/Toshiaki Yamasaki
■経歴
1973年大阪府門真市生まれ。大阪学院大学卒業後、大正銀行(現 徳島大正銀行)に入行。優秀外交賞を最短記録で受賞。 その後、アクサ生命保険に入社。世界の生命保険金融サービス専門職トップクラスのメンバーで構成されるMDRT(世界100万ドル円卓会議)会員資格を同社最年少で取得。 大阪LAマネージャー、仙台LA支社副支社長、金融法人営業部副部長を全て最年少で歴任、マネジメント、スカウト、トレーニング業務等に従事。 2011年に(株)T&Aパートナーズ、2014年には(株)タレントアンドアセスメントを設立し、両社の代表取締役に就任。 「戦略採用メソッド」を中心に採用ソリューションの提供を行い、2017年には対話型AI面接サービスSHaiNを独自開発し、サービス提供を開始する。 主な著書に、『戦略採用』(東京堂出版)、『AI面接 #採用』(東京堂出版)など。
●対話型AI面接サービス:SHaiN
学歴・経歴にとらわれず、
本来の資質を可視化した採用を
―「タレントアンドアセスメント」の企業理念や事業内容を教えてください。
私たちはAI面接サービス事業や戦略採用コンサルティング事業などを展開している会社です。 戦略採用コンサルティング事業では、弊社独自の科学的な「戦略採用メソッド」を活用し、 企業様ごとに最適な採用を実現できるよう、支援しています。
そして、AI面接サービス事業では、このメソッドを搭載した対話型AI面接サービス「SHaiN」を開発・販売しています。 いずれのサービスにも共通しているのは、「履歴書や職務経歴書に載っていることだけでなく、性格や価値観といった人間本来の資質を可視化した上で、人を採用してほしい」という思いです。 私たちは人材採用を通じて、企業の未来図を一緒に作っていきたいのです。今あることは、昨日の延長ですよね。だから、今日の人材採用が未来を作るのだと思い、企業の採用を支援する事業に日々取り組んでいます。
―「戦略採用メソッド」とはどのようなものですか。
まず、その企業が求める人材像を具体的に定義し、採用に関わる全員が、求める人材像を具体的にイメージできるようにします。こうすることで、選考時の採用基準を統一できます。そして、あらかじめ定められた基準や質問項目に従って質問していく「構造化面接手法」を用い、面接を計画的に行っていきます。これにより、戦略的な採用フローが確立され、感覚的な印象に左右されることなく、受検者の資質や能力を公平に見抜くことができます。 ちなみに弊社のロゴマークは氷山をモチーフにしていますが、水面から出ていて周りに見える氷山は、氷山全体のごく一部です。水面下の部分の方が本当は大きく、企業にはその水面下の部分にあたる受検者本来の資質や能力を可視化して見てほしいと思っています。
水面下の部分を客観的、科学的に可視化できる面接メソッドが、構造化面接手法を取り入れた弊社独自の「戦略採用メソッド」です。
対話型AI面接サービスを展開
人手をかけず、公平に資質を評価
―「戦略採用メソッド」を生かした対話型AI面接サービス「SHaiN」とは、
どのようなサービスですか。
「SHaiN」は、「戦略採用メソッド」にもとづいて、受検者への面接から面接評価レポートの作成まで、AIが自動で行うサービスです。
受検者はいつでもどこでも、スマホやタブレットを使って、AIの音声での質問に口頭で答えます。質問は、「SHaiN」所定の質問項目のほか、企業が独自に聞きたい項目を10個まで登録することができます。
「SHaiN」が優れているところは、人間の面接官と違って聞き忘れたり、記憶があいまいになったりすることがないところです。
たとえば、受検者の過去の行動を質問する際には、AIが「過去にどんな状況のとき、どんな行動を起こしたのか」「その行動を起こすきっかけは何だったのか」「その結果どうなったか」というように、状況、課題、行動、結果の4つを必ず全部聞きます。そして、答えた内容は非常に高い精度で自動的に文字起こしされ、点数化されます。
―「SHaiN」はどのような場面で活用されていますか。
大手企業の1次面接や、チェーン店のアルバイト面接など応募者が多い企業や、Uターン就職者が多い地方自治体などで主に活用されています。現在、導入していただいている企業や自治体、大学などは計600以上にのぼります。
―受検者のどのような資質を評価できるのですか。
「SHaiN」が見抜く項目は「バイタリティ」「イニシアティブ」「感受性」「柔軟性」などの質問項目の7資質と「理解力」「表現力」などの観察項目の3資質の計10項目です。項目ごとに点数がつきますが、全てが高ければよいというわけでもありません。たとえば、バイタリティがありすぎる人は粘り強いですが、逆に言うと諦めが悪く、担当している仕事が行き詰ったときも、うまく方針転換できないかもしれません。 企業や募集職種によっても、重視する資質は異なります。自分たちが求める人材像と照らし合わせながら、次の面接に進んでもらう受検者を決めていただきます。
―「SHaiN」の1次面接を通過した人には、人間が面接することが想定されているのですね。
そのときにはどのような点を心掛ければよいのでしょうか。
「SHaiN」が判断できないのは、企業と受検者のフィーリングが合うかどうかです。その人が好きかどうか、企業の文化に合うかどうかは、人が面接しないとわかりません。能力の確認に時間をとられてフィーリングの一致をおろそかにすると、お互い不幸でしかありません。能力の確認は人手をかけず「SHaiN」に任せ、フィーリングは人がじっくりと見極めることをおすすめしています。
大学入試共通テストのように
戦略採用のプラットフォームを目指す
―「SHaiN」は企業、受検者双方にとってメリットが大きそうですね。
受検者にとっては、いつでもどこでも面接を受けられるため、就活生が1次面接のために地方から出てくる必要もなくなりますし、海外に留学中の学生も面接を受けられます。AIが相手なので、ハラスメントを受ける心配もありません。 一方、企業にとっても採用に割く労力がぐっと減り、かつ選考の精度が上がります。大手企業なら、就活生2000人ほどの応募があることも珍しくありません。この全員に面接をするのは大変なので、これまで「学歴フィルター」もあったわけですが、「SHaiN」を使っていただければ、大学名にとらわれることなく、全ての受検者の中から本当に求める人材を選ぶことができます。各部署から面接官の社員を集めてくる必要もないので、社員が本来の仕事を中断されることもありません。
―「SHaiN」を今後、どう展開させていきたいですか。
戦略採用のプラットフォームを目指したいです。最終的には「SHaiN」が大学入試の共通テストのようになればいいなと思っています。 「SHaiN」のAI面接を受けたらA社にもB社にもC社にも申し込んでもいいという状況になり、学歴や職歴ではなく、自分の実体験を面接で語ることで評価される時代を作っていきたいです。
学歴に自信がなかった自分も
面接でアピールし、仕事で成果を出せた
―企業の採用現場を変えることによって、社会全体にどういったインパクトを与えていきたいですか。
多くの人は、学歴や職歴に悩みやコンプレックスを抱えていると思います。だからこそ、学歴や職歴、性別や国籍に関係なく、面接だけで就職できる時代をつくりたいです。「SHaiN」を使えば、1日で2000人ぐらいに面接を受けていただけます。これまでは学歴で絞ってからしか面接できなかった企業も、全員に平等に面接のチャンスを与えることができます。受検者側は、性別や見た目に基づく潜在的な偏見に左右される心配もありません。
―企業の採用のあり方を変えたいと思う原体験があったのですか。
私は1973年生まれで、インターネットが普及していない時代に就活を経験しました。決して誰もが知るような大学の学生ではなかった私でしたが、自分で企業を調べ、ハガキを出して企業を訪問して受験させてもらっていました。
面接では、財務諸表や商法、民法など大学で勉強してきたことや、一人で1ヶ月バックパッカーとしてロンドンに行ったという経験を話してアピールした結果、希望していた銀行から内定をいただけました。 企業が就活生を大学名だけで判断するというのは残念すぎますし、かつての私のような学生のこともぜひ見てほしいと思っています。 もちろん、学歴が高い人ほど充実した経験が多く、試験や面接の点数が高い人も多いのは事実ですが、私のような人間だって、就職後に結果を出しているということを企業には知ってほしいです。
―山﨑さんご自身は、どのようなキャリアを歩んでこられたのですか。
私は大学卒業後、地方銀行に入行しました。がむしゃらに働いて、とても高い営業成績を残せましたが、周囲に「お前がそれだけやるから、俺たちもノルマが高くなる。迷惑だ」と言われてしまいました。 頑張って成果を残しても怒られない世界を探したいと思っていたときに声をかけてくれたのが、外資系生命保険会社でした。ここでも世界トップレベルの営業成績を残し、あれよあれよという間に昇格していきました。 ただ、このころに幻冬舎の見城徹社長とサイバーエージェントの藤田晋社長とが出していた『憂鬱でなければ、仕事じゃない』という本を読んだのですが、仕事がうまくいきすぎて、全く憂鬱になっていなかったし、不安もなかったんですよね。「もっとちゃんと仕事に向き合おう」と思い、2011年に独立し、コンサルティング会社を立ち上げました。
―コンサルティング会社でのお仕事が、タレントアンドアセスメントの創業につながったのですか。
多くの企業様とお付き合いする中で最も相談が多かったのが、採用に関することでした。私自身、ヘッドハンティングもしていたので、その経験もお伝えしたのですが、企業様とお話をしていくうちに、採用で一番重要なのは、人を集めることではなく、面接して資質を見極めていくことだと感じました。そこで2014年、採用コンサルティングを専門的に行うタレントアンドアセスメントを創業しました。
経験や出会いが実を結ぶときが来る
起業に早い、遅いはない
―そうして創業した後、「SHaiN」を展開していくにあたって、困難はありましたか。
実は「SHaiN」を開発し、売り出した2017年のころは、ほとんど売れませんでした。「AI面接」の発想が早すぎたのだと思います。今とはAIに対する受け止めも違い、学生や人事の方の不安も大きかったです。資金面も綱渡りでしたし、高い報酬を用意しなければいけないエンジニアを確保することも課題でした。
そんなふうに困難だらけでしたが、人材会社が利用し始めてくださったタイミングで、テレビに取り上げていただけたので、少しずつお問い合わせが増えていきました。
ただ、ある企業様の面接の日、700人ぐらいが一斉に「SHaiN」で面接を受ける予定だったのにもかかわらず、サーバーがダウンしてしまい、大問題になったこともありました。ひたすら関係先に電話して、数時間以内に解決しましたが、あのときは「このままサービスを継続提供できるのかな」「倒産してしまったらどうしよう」と本当にシビれる経験でした。
―そうした困難、失敗を乗り越えて、現在に至っているのですね。
失敗も経験しながら、やり続けることが大事だと感じています。それが本当に難しいことなのです。誰も作っていないものを作り、世の中に出し、新しい言葉を作って広めていくということは本当に大変です。誰も作っていないのは、「売れないから」もしくは「作るのが難しいから」のどちらかの理由があります。それでも「学歴や職歴に関係なく、面接だけで就職できる時代をつくりたい」という思いで、何とかここまで来ました。
もちろん今でも大変です。自分の報酬をゼロにすることもあります。それでも「焦らず、休まず、諦めず、頑張りましょう」と社員に呼び掛けている通り、進んでいれば道は開けてくると思っています。
―港区で起業して良かったと感じることはありますか。
東京のど真ん中なので、働く人が来やすいですよね。いろんな会社もありますし、ビジネスをするにはいい場所です。賃料が高いイメージもあるかもしれませんが、港区内にも様々なところがありますし、オフィス物件も多いので、出社する人が減れば借りるオフィスを小さくしたり、会社の規模が大きくなれば広いオフィスを借りたりと、柔軟に対応しやすいです。
仕事帰りに区のスポーツ施設にたち寄るなど、プライベートも楽しめます。仕事もプライベートも充実させられる環境は、港区ならではだと思います。
―起業を目指す方に向けたメッセージをお願いします。
私は、自分が経験したことの中でしか起業のアイデアは生まれないと思っています。
私の場合、自分の学歴に自信はありませんでしたが、銀行や外資系企業にチャンスをいただき、仕事の成果を残してきました。 そうした経験の中で自分が「これだ」と思ったのが、27,28歳のころに面接の仕方を学んだときでした。
「こういうふうに人を見たら、本当にその人の性格や価値観を理解できるのか」と思ったことを忘れられず、起業したときにそのメソッドを実践できる事業をしようと思いました。
起業後、融資や出資をいただいたり、保険会社時代のお客様だったエンジニアに参画してもらったりしたのも、それまでの積み重ねや人脈があったからです。
ですから、起業する人は若いうちに、と焦らなくていいと思います。私が起業したのは38歳のときでした。起業するのに早い、遅いということはありません。経験や出会いが必ず実を結ぶときが来るので、「これだ」と思ったことを形にできるタイミングが来るのを信じて待ってみてはいかがでしょうか。
記事投稿日:2024年10月27日