株式会社セキド

株式会社セキド
無人モビリティソリューション企業世界一を目指し、社会と人々に貢献したい

大下 貴之さん

株式会社セキド
代表取締役大下 貴之さん

無人モビリティ事業、農業機器事業、映像機器事業、ホビー・レジャー事業

 

株式会社セキド
代表取締役
大下 貴之さん
Takayuki Oshita

 

[プロフィール]
自動車ディーラーを経てアパレル会社に入社し、ラジコン事業部で勤務。2012年に同部が「株式会社セキド」として独立した際、社長就任。同年、ドローンの世界最大手である中国のDJI(ディージェイアイ)と日本で最初に正規代理店契約を締結。

 

世界シェア率トップを誇るDJI製のフルセットドローンを日本で初めて販売

2012年の設立当初の弊社は、ラジコンの事業を展開する輸入の専門商社でした。ラジコンには様々な種類があり、当時流行っていたジャンルとしてマルチコプター(ヘリコプターの一種であり、3つ以上の回転翼を搭載した機器)も扱っていたのですが、お客様の声として「マルチコプターを飛ばすのは楽しいけれど、組み立てが難しい製品でもある」とよく言われていました。

 

そこで、もう少し簡単に飛ばせるものはないかと探している中で出会ったのが、今では世界シェア率トップを誇るドローンメーカー、中国のDJIでした。中国で新たな産業を作りブランドを確立したのはDJIのほかにないのでは、というぐらい非の打ち所のないメーカーです。
そのDJIから一緒にやりませんかとお話をいただき、2013年に必要なパーツがフルセットになった「PHANTOM(ファントム)」というドローンを、日本で初めて販売することになりました。注文して家に届いたら、すぐに組み立てられるセットということもあり、PHANTOMのジャパンリミテッド(国内の法令に対応した独自仕様)は発売後にたちまちヒットし、これぞ“産業革命だ!”と思ったのを覚えています。

 

発売当初は、メディアやクリエイターといった映像関係のお客様がほとんどだったのですが、この10年であらゆる産業/業界の会社から需要が増えてきました。それに合わせるかのようにドローンも日々進化していて、5分から10分程度だった最大飛行時間が50分を越え、電波障害がない場所では5キロほどの距離を飛行可能になっています。
また、ドローンに取り付けるカメラに関しては、広角レンズが付いたものからレーザー測量ができるものまで、お客様のあらゆるニーズに対応できるようになりました。

 

水中ドローンにより効率的かつ安全で確実な点検が可能に

弊社の事業は8割が空中ドローン、残りが水中ドローンとラジコン関係の半々という比率となっていますが、2021年夏頃から水中ドローンのお問い合わせが増えています。

 

お問い合わせの例として、電力会社さんから“火力発電所の排水路の点検に水中ドローンを使用したい”というものがありました。ご相談いただいたあと、潜水士が入れないような環境に水中ドローンを潜らせて点検を行ったところ、空洞になっているはずの場所に堆積物を確認することができ、お客様は非常に満足してくださいました。
ちなみに潜水士が入れる場所を点検する場合はダムの水を抜く必要があり、その費用は一回で数百万円程度と言われています。一方で、水中ドローンの価格は高性能な機種で約200万円、一般的なものですと50〜60万円程度ですので、ドローンで数回点検すればもとが取れてしまうんですね。
というわけで、人間の目で細かく点検する必要がある場合は潜水士にお願いし、そうでない場合は水中ドローンを使用されるお客様が増えているという現状です。

 

操作や設定に関しては納品講習を行っており、そこでしっかりと覚えていただき、その後はお客様ご自身に操作していただいております。

 

また、2019年には株式会社商船三井様と共同で、水中ドローンを使用した船底点検に関する実証実験を行っており、実験の結果、潜水士による点検に代わる手段として“効率的かつ安全で確実な方法”であることが確認できました。

 

 

ドローン講習やフライト申請代行サービスでお客様をサポート

ドローンを安全にご活用いただくために、経験豊富なインストラクターによるセミナーやイベントを定期的に開催し、神奈川県のヨコハマベイサイドにはトレーニングセンター(フライト練習場)を設けております。
もともとは販売がメインでしたので、講習はあくまでも購入されたお客様がドローンを落下させてしまわないように、とスタートさせた事業になります。ですので、講習料はかなりリーズナブルですし、最新機材を毎日使用しているスタッフがレクチャーしております。商品だけでなく、講習の内容や質の面でもお客様から高い評価をいただいています。

 

ただ、ドローンの講習を受けたらすぐに飛ばせるか、というとそうではなく、1機体ごとに飛行許可申請が必要となる場合があります。というのも、日本では空港の周辺や人工密集地域などの空域で、無人航空機(ドローンや飛行機/ヘリコプター型のラジコンなど)を飛行させる場合は、国土交通省に飛行許可申請をしなければいけないと法律で決まっているからです。
そのため、セキドのオンラインストアでは、国土交通省への飛行許可申請に必要な「ドローン情報基盤システム(DIPS)の利用方法についてもご紹介しており、お客様にはルールに沿った安全なフライトに必要なさまざまな情報をご活用いただいています。
また、ご自身でのお手続きが不安な方にはフライト申請代行サービスも行っており、そういったところも弊社の大きな魅力ではないかと思います。

スマート農業に必要な農業用ドローンが手軽に導入できる時代に

近年、農業用ドローンは、スマート農業を実現するために必要不可欠なものとなっています。肥料や農薬のピンポイント散布を空から行えるので、非常に便利なんです。産業用無人ヘリコプターとしては国内メーカーの1機1,000万円を越える製品が有名でしたが、ドローンでは1機の価格が100万から200万円程度まで下がり、一般の農家さんでも手に入れやすくなりました。さらに、農林水産省の補助金制度を利用することで、導入費用を浮かせることも可能です。

 

 

また、農薬散布ドローンの導入と取り扱いには専用の技術認定証が必要ですので、弊社で行っている技術認定証を取得するための講習を受けていただくと安心です。
農家さんによっては100万円で農業用ドローンを購入するよりも、その都度外部にお願いしたいという方もいらっしゃいます。弊社ではご要望に合わせてドローンでの農薬散布を行い、年間を通して葉の成長を色で識別して、農薬を散布する場所を細かく調整したり、刈入れ時などをデータ化したりして、お客様と相談するというサービスも行っております。

 

最近は、耕耘や田植えの際の疲労を軽減して、農作業をラクにする農機自動操舵システムに切り替える農家さんも多く、弊社ではすでにお使いのトラクターや田植え機など国内外様々なメーカーの新旧農機に取り付けて、自動操縦を可能する「FJD農機自動操舵システム」も販売しております。
FJD農機自動操舵システムはRTK-GNSS方式の測位システムと、自社開発の高精度ステアリングモーターを採用しており、業界最高水準の誤差±2.5cmの操作精度を実現しているのが大きな特徴です。さらに導入後は大幅なコスト削減が可能なため、昨年は多くのお客様が発注してくださいました。

 

 

様々な企業と共にドローン業界を盛り上げていきたい

2018年からは全国の各地域にグループ会社の拠点を構え、地域に密接した活動を行ってきましたが、発展を続けるこれからのドローン業界に対して、自社だけで取り組んでいくには限界があります。今後は様々な企業とどんどんコラボレーションしていくことが大事だと感じております。

 

また、弊社のウェブサイトでは、自社で販売している機材の実証実験をコンテンツとして発信していますが、今後は商品を導入していただいたお客様からのご利用前とご利用後の生の声を紹介するなど、ドローンに関心を持ってくださる方々に向けてより一層お役に立てる情報を発信しようと考えております。
ドローンに対しては、まだまだ「操縦するのに免許が必要ではないか」や「どこでフライトできるのか?」といった、導入に対するハードルを感じている方もいらっしゃるので、ドローンを活用することの便利さや快適さなど正しい情報をお伝えしながら、ドローン業界を盛り上げていきたいと思います。

記事投稿日:2023年3月23日