株式会社Photosynth

株式会社Photosynth
誰も成し遂げていない
キーレス社会の実現へ

河瀬 航大さん

株式会社Photosynth
代表取締役社長河瀬 航大さん

株式会社Photosynth
代表取締役社長
河瀬 航大さん/Kodai Kawase
筑波大学理工学群卒業。株式会社ガイアックスに入社し、ソーシャルメディアの分析・マーケティングをおこないながら、新規事業を中心にさまざまなプロジェクトに参画。在職時はネット選挙の事業責任者として、多数のTV出演・講演活動をおこなう。 2014年、株式会社Photosynthを創業し、スマートロックAkerunを主軸としたIoT事業を手掛ける。 2021年、創業8年目に東証マザーズ(現グロース市場)に上場。

 

 

すべての鍵をデジタルに
世界初の後付け型スマートロック

 

―貴社のビジネスと事業内容をご紹介ください

 

弊社は、Akerun(アケルン)というスマートロックを活用したクラウド型入退室システムを提供する会社になります。Akerunは、世界初の後付け型スマートロックで、ドアに取り付けるだけで、ICカードやスマートフォンを鍵として利用できるIoTデバイスです。既存のドアに後付けできるため、一般的なつまみ(サムターン)の鍵だけでなく、電気制御の鍵や自動ドアにも簡単に設置できます。

 

この商品は、法人向けと住宅向けに展開しています。法人向けは、扉の開閉による防犯面だけでなく、個人情報保護管理の観点から、入退室記録を必要とする企業のニーズに応えています。また、利用履歴がスマートフォン上で確認できるので、誰がどこで働いているかがひと目で分かります。そのため、セキュリティ面だけでなく、管理面でも好評をいただき、これまで累計7,000社以上の企業から導入され、業界シェア1位を獲得するなど高く評価をいただいています。また商業施設用などでもご利用いただいていて、コロナ禍の影響で無人運営施設が急激に増加したことで、さらにニーズが高くなりました。例えば、コワーキングスペース、フィットネスクラブ、インドアゴルフ場、会員制のサウナなど、さまざまな商業施設で利用されています。

 

もう1つの家庭用は、鍵メーカーの美和ロック株式会社とのジョイントベンチャーとして取り組んでいます。その理由は、住宅向けは法人向けと販売方法やマーケティングなどが異なるため、新しい体制を構築しながら営業活動をした方が望ましいと考えたからです。Akerunは現在、規模や業種を問わずさまざまな企業や施設に導入され、セキュリティだけでなく、業務の効率化のためのインフラとして活用されています。

 

 

 

 

追随を許さない細部へのこだわりと
初心から貫く商品への愛着

 

―世界初のデバイスを開発したとなれば、他社から類似商品が出てきます。

商品の差別化について聞かせてください

 

私たちのような新しい商品はベンチマークにされやすく、オリジナル機能を開発する際にはコストがかかります。さらに、継続して新しい価値を提供し続けなければなりません。私たちは、お客様にどこまで価値貢献できるかということを大切にしていて、商品開発のヒントは常にお客様の中にあると考えています。しかし、後発商品は弊社を模倣して作られたであろう商品が多く、機能の追求に変化が見られません。それだとお客様に満足していただける商品は提供できません。

 

私たちは、「信頼性」、「拡張性」、「革新性」という3つのブランドコアを軸に商品のブランディングをおこなっているのですが、安全性と機能性はもちろんのこと、同時にデザインにも強いこだわりを持っています。Akerunのデザインは、親しみやすさを感じられるように、どこを見ても直線がないようにつくられています。

 

設計には、最も美しさを感じられる黄金比を採用しています。

鍵を回す音や開閉を知らせるサウンドにも、すごくこだわりを持っていて、日本を代表するRPGゲームのサウンドを制作したクリエーターに依頼し、作成していただいたほどです。さらに、LEDライトの光り具合や明るさ、素材から構造の部分など、話がつきません。

オフィスのエントランスに初代Akerun(住宅向け、生産完了品)の金型を展示しているのですが、改めて見てみても、よくできたデザインだと感心してしまいます。

 

 

 

 

副業で複数のプロジェクトを展開
そのひとつが「Akerun」だった

 

―ヒット商品を生み出し上場も果たしました。起業の経緯を聞かせてください

 

私はすごいガジェットが好きで、周りの友人も同じ趣味を持った人がたくさんいました。ある日、友人たちとの飲み会の中で、『物理的な金属の鍵を持ち歩くのはセキュリティ的にも不便だし、将来的にはなくなってしまう可能性もあるよね』という話題になりました。

当時、3Dプリンターなどの新しい技術が普及し始めていて、自分たちも何か作ってみたいという気持ちを強く持っていました。それがタイミングよく重なって、商品開発が始まりました。

 

実は、起業する前にも前職時代でさまざまなプロジェクトを立ち上げていました。音楽系のスマートフォンアプリやキュレーションサイトなど、Akerunの開発も、それらのプロジェクトのひとつでした。そして偶然、取り上げていただいた新聞記事が大きな反響を呼び、購入希望者や出資者からの問い合わせが殺到しました。その後、Akerunの存在が大きくなってきたため、本格的に事業化しました。それがフォトシンスを創業した経緯です。

 

 

 

 

社員ファーストで港区に移転そして
夢はキーレス社会へ

 

―港区に拠点を変えられた理由と、今後の展望を聞かせてください。

 

起業したのは五反田でしたが、そこから創業4年目に港区に移転しました。 移転の理由は、田町が気に入ったからです。五反田で起業し、その雰囲気を保ちたいという思いがあり、似たような街の雰囲気を求めていました。田町は、品川や東京の中間にあり、アクセスが優れている場所でもあるので、立地面においても非常に魅力でした。

また、田町は学生街でもあるので、カジュアルな飲食店が多く、社員同士の交流が盛んになることを期待しました。現在、私たちの企業には160人ほどの社員がいますが、山手線や都営浅草線あたりの沿線に住む社員も多いため、田町の交通アクセスは理想的でした。

社員の働きやすさと、広いスペースを確保できるオフィス空間など、総合的に見て居心地の良い環境が組み合わさった田町が最適な場所だと感じ、移転しました。

 

私たちの事業ミッションは、1つのIDですべての扉を開けられるキーレス社会を築くことです。

Akerunの鍵があることによって、私たちはAkerunが設置されたさまざまな場所に自由に出入りできます。また、無人運営のコワーキングスペースやフィットネスクラブのように、スタッフが不在でも安心して営業できる無人化施設のセキュリティのサポートを今後も強化したいと考えています。

日本の人口は今後ますます減少し、少子高齢化が進むと予想されています。その中で、現在の経済を維持するためには、人手に頼らず無人化したサービスで生産性を上げていくことが必要とされると考えています。そのためには、AkerunのようなIoT製品が不可欠な役割を果たすと考えています。私たちは、こうした製品を通じて、日本の社会課題の解決を支援できる企業となり、社会に貢献していきたいと考えています。

 

 

        

 

 

経験がなければ経験者に問う
成功を見極めるには経験が大切だから

 

―取材を通して商品を楽しそうに話される様子が印象的でした。

最後に河瀬さんは70億円超の資金調達をするなど経営者の手腕を発揮されていますが、これから起業される方に向けてメッセージをお願いします。

 

経験豊富な経営者やビジネスのベテランから学ぶことは、非常に大切です。

ビジネスにおいては、業界や事業に関わらず、落とし穴は似ていたりすることがあります。経験があれば、どの分野でも、何がうまくいくか、何がうまくいかないかを見極めることができることもあります。これらの洞察は、何度もビジネスを経験することでしか得られません。なので、先輩経営者のアドバイスにしっかりと耳を傾けてください。アドバイスを受けることで、時間とエネルギーを無駄にしないようにもなります。

 

最近、起業家の数が増え、起業ブームが広がっていると言われていますが、正しい戦略やビジネスモデルを持たないまま勢いのみで起業すると単純に苦しむことになりますし、何よりも日本経済にとってはプラスになりません。

自分の意思を強く持つことと、アドバイスを受け入れる柔軟さを持つことのバランスも非常に重要です。私たちは、過去の成功と失敗から得た知識とノウハウを活用し、より強力なビジネスコミュニティを築いていくべきだと思っています。

 

       

 

 

記事投稿日:2024年2月6日