日本新聞印刷株式会社

日本新聞印刷株式会社
古き良き紙文化を活かす
“新聞表現”というクリエイティブ

野村 尚弘さん

日本新聞印刷株式会社
取締役野村 尚弘さん

日本新聞印刷株式会社
取締役
野村 尚弘さん/Takahiro Nomura
1999年に入社後、25年を経て、現在は取締役に従事。営業活動の傍ら、日本新聞印刷のホームページブログ『日刊のむら日記』やFacebook、Instagramなどの広報も兼務。趣味はマラソンをはじめ、相撲、サザンオールスターズ、ハイエース、エリアトラウトフィッシング、キャンプなど多数。自身のキャッチフレーズは「日本新聞印刷の進撃の巨人」。愛妻家であり、愛犬家。

 

 

新聞にしかできないことを武器に
70年間戦ってきた歴史がある。

 

―貴社のビジネスや商品・サービスを教えてください

 

当社のメインは業界誌の制作・印刷です。1953(昭和28年)年に創業しましたので、70周年を超える老舗企業になります。当社の特長は、敢えて“新聞”という表現媒体をつかって会社案内やカタログなどの広告に展開しているところです。専門に特化した新聞づくりを得意としています。

なぜ今の時代、新聞を媒体にした広告物が求められているかと言うと、例えば、革製の鞄の広告を打つときに、普通にきれいなカタログに仕上げることもできるのですが、革の質感やクラフト感を表現するために、新聞という手法を選択し、商品の特性を感覚的に訴求します。革は、経年変化で色が深まったりしますが、それを好まれる方もいらっしゃいます。このような特長の商品は、カラー印刷するよりも、モノクロで表現した方が、存在感が増します。ファッション紙とは対照的に、商品の特性やターゲット層を考えると、この手法は的を得たやり方になります。おかげさまで、たくさんのお客様から好評をいただいております。

 

今や素材や質感の異なった紙の種類が多くある中で、新聞紙の質感は、独自の世界観を持ち合わせて魅力的に写るようになりました。新聞という媒体は減少傾向にありますが、私たちは新聞が持つ特有の強みを活かしながら、それを武器に営業活動をおこなっています。

 

 

 

 

新しい技術でなくてもいい
人と違うことを、面白がる

 

―今の時代、新聞は差別化できるツールとして活用できそうですね。

実際に貴社のサービスを利用したお客様の声をお聞かせください。

 

私は普段、名刺交換をするときに「野村新聞」という自分の趣味のマラソンなどが掲載された新聞をお渡しするのですが、初めて会う方にとって、すごいインパクトがあるようです。そして、次に会う時には、次の号の新聞をお渡しします。お客様の中には、この野村新聞を待ち望んでいる方もいますので、営業マンの私にとって、名刺代わりの新聞は最高の営業ツールになります。

 

新聞といえば、何万部も刷らないといけないイメージを持たれるのですが、当社は小ロット印刷も対応していますので、限られた部数でも提供できます。工夫を凝らしたアイディア満載の名刺をよく見かけますが、自己紹介を掲載した新聞の方が、相手の印象に強く残りますし、個人を知っていただける、きっかけにもなるのでお勧めです。

これも差別化につながるポイントのひとつですが、新聞の特長はまだたくさんあります。そのひとつに納品の早さです。新聞は輪転機から出てきたら、即製品です。例えば、今データを入れて印刷すれば、数時間後にはもう出来上がっています。カタログや本は、印刷してから製本するまで日数がかかりますが、新聞ならば即日納品ですので、納品スピードは他の紙媒体を圧倒します。

 

また、ポスティングするチラシやDMでも差別化できます。ポスティングに使われる広告のほとんどは、ツルツルした肌触りのコート紙を使われますが、投函されたポストには同じ紙で溢れています。そして、そのまま見てもらえずに捨てられてしまいます。反対に、最近は新聞を定期購読している家庭が少ないので、ポストに新聞が入っていると手に取って見てもらいやすくなっています。実際にお客様からポスティング広告を新聞に変えたら集客に成功したという喜びの声をいただいています。現代の人にとって、新聞は当たり前の存在ではなく、個性を持った媒体に写るようです。

 

 

 

 

わずかな反応を見逃さない
対面という大切さ

 

―野村さんにとって仕事の魅力、そして、こだわりは何ですか?

 

この仕事を25年以上続けていますが、一番の魅力は常に新しい出会いがあることです。

私は、新聞や広告の営業以外に、書籍などの本も手がけているのですが、本が完成するまで、およそ半年から一年くらいかかります。その間にお客様との関係を深めて、一緒に作り上げていくプロセスを大切にしています。私は、初めて打ち合わせをする際に必ず握手をします。それは、これから力を合わせて良いものを作っていきましょうと、意気込みを表している気持ちを伝えるためです。今の時代、電話やメールで仕事を進めていくのが当たり前で、効率的なのは理解しています、ですが、やはり対面でお会いして話すことで、より良い関係がつくれ、そのことが良い仕事につながると実感しています。

 

もちろん、仕事はうまくいく時もあれば、思わぬトラブルにあうこともあります。たとえ、トラブルがあってもお客様と良い関係を築けていると、リスクも最小限に抑えられる可能性があります。そして、最終的には良い結果につながるケースが多いです。私はコロナ禍になるまで、先方にアポを取ったことはありませんでした。修正の指示を受ける時も、カンプや資料を提出する時も、常にお客様のところにお伺いしていました。さすがに、コロナ禍中は、控えざるを得ませんでしたが、改めてお客様の声を直接聞くことが、良い仕事につながると再認識できました。

 

それが私のスタイルであり、こだわりです。そして、当社は印刷会社なので、紙の質感や色味の付き具合にも妥協はしません。PDFやFAXでは、それが良いのか悪いのか大まかにしか伝わりません。だからこそ、毎回お持ちして、お客様の反応やわずかなニュアンスを見逃さずにいようと心掛けています。技術的なこだわりも、感覚的なこだわりも、どちらも大切にすることによって、本当に良いものが作られると考えています。

 

 

 

 

時代が変わっても住環境は変わらない
港区はずっと働きやすい街

 

―半世紀前ほどから港区を拠点に活動されているとお聞きしました。

昔の港区と比べて、働く環境はどのように変わりましたか?

 

時代の流れもあって年々、印刷会社の数は減少傾向にありますので、港区を拠点にする印刷会社も当社を含めてわずかになりました。その分、近年ではITやスタートアップなどのベンチャー企業の多くが港区に集まっている印象です。新しい会社が増えたので、私たちのような老舗企業は珍しい存在です。

 

街が発展していくのは好都合で、企業が増えれば営業先も増えます。私のようなお客様のところに足を運ぶ機会が多い者にとっては、お客様が近くにいることで、より仕事がスムーズに進むようになります。昔から港区には、時代をリードする先端技術やサービスを提供する企業が集まるという印象は今でも変わりません。当社は、田町と品川の中間に位置していますので、田町エリア周辺は、昔からよく知っています。多くのビルが建ち並び、とても賑わう活気のある街になりました。この住環境の良さはとても気に入っています。住環境よりも、働く環境は大きく変わりました。

私が入社した25年前は、お客様がデザインなどの制作をすることがなかった時代です。そのため機械を動かす職人の方の立場が上のように感じられました。しかし、時代が変わって、仕事のスタイルも大きく変わりました。今では、制作を手がけるのはお客様がほとんどで、私たちはデータをいただいて印刷機を回します。長い間、同じ場所で働いていると、ふと昔を思い出して懐かしがることがあります。どちらの時代も良く、港区はずっと働きやすい街です。

 

 

 

 

スタートアップ企業こそ
他と違う手法で名前を売ろう

 

―これから事業を考えている方や起業家にアドバイスをください。

 

当社のアピールになって恐縮ですが、起業する際に新聞を作られてみてはいかがでしょうか。私はこれまで営業の立場で、スタートアップや新規事業の広告をたくさん手掛けてきました。起業家にとって、自社サービスや商品の他に、会社と自分の顔を売る必要があります。新聞は、視覚的にインパクトがあり、覚えてもらいやすい表現媒体です。すぐに差し替えられるので、新しいサービス・商品を発表する度に、アピールし続けられます。自社の認知度を上げるために、他社と違うことをするのをお勧めします。

 

きれいにデザインされた会社案内を用意することも大切ですが、それをその場で見てもらう工夫をしなければいけません。特にベンチャー企業が新聞を利用したプロモーションをおこなうとギャップがあり、話題性も抜群です。アイドルやアーティストが、情報発信のツールにSNSと一緒に新聞を活用しているようです。「昭和レトロ」という言葉が誕生したように、今や若い方にとって新聞は、媒体としてお洒落だと思われるようになりました。新聞はまだ価値を失っていません。今の時代、新聞は独自のポジションを確立したアイテムであることは間違いありません。

 

 

 

記事投稿日:2024年3月26日