株式会社ミューオン
株式会社ミューオン
まだ見ぬ価値をITで発掘し
社会につなぐ
株式会社ミューオン
代表取締役坪内 俊樹さん
代表取締役
坪内 俊樹さん/Toshiki Tsubouchi
■経歴
システムエンジニアとして長年にわたり活躍し、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションをはじめ、、P2Pネットワーク、IoT、エッジコンピューティング、画像認識、クラウドネイティブなシステム開発など、最先端の技術を積極的に取り入れる。特に、新しい技術を活用したシステムの設計・開発に情熱を注ぐ。
さらに、システムコンサルタントとしても多岐にわたる業務に従事し、業務設計からアーキテクチャの考案、セキュリティ対策の設計、プロジェクトマネジメントまで、ITシステムに関する幅広い分野での経験を積む。
現在はこれまでの豊富な経験を活かし、新規事業の立ち上げやチームビルディング、システム開発のコンサルティングに注力し、技術とビジネスの両面から、新たな価値を創造するためのサポートを行っている。
見えない価値をITの力で発掘し、
社会につないでいく
―貴社の企業理念について教えてください。
私たちは、見えない価値を発見し、社会につないでいくことを理念として掲げています。個人でも企業でも、それぞれが得意とすることが日の目を浴びず、なかなか活躍の機会を得られないのはもったいないですよね。
私たちはそれぞれの能力を発掘し、社会につないでいくことによって、能力や価値が世の中に提供され、能力を発揮できた人も幸せになるという世界を目指しています。そのためにITの技術を使って様々な能力や価値を発掘し、必要とするところに届けていきたいと考えています。
―そのような企業理念に至った原体験があったのでしょうか。
私自身、子どもの頃からプログラマーになりたいという目標があり、大学生のときに勉強し、いろんな技術を身につけてきたつもりでした。しかし、大学卒業後に就いた仕事の中ではその能力の一部しか生かせなかったうえ、フリーランスのプログラマーとして仕事の幅を広げていくことも大変でした。
そのため、自分がやりたいことを必要としてくれるところと巡り合いさえすれば、もっといろんなことができたのかなという思いを抱くようになりました。そしてそれは私だけではなく、社会全体に言えることだと思い、そうした課題を解決していきたいと考えるようになりました。
―システムエンジニア、システムコンサルタントとしてのキャリアを歩む中で、
大切にしてきた軸はありますか。
私は結構飽きっぽく、やりたいことも幅広いので、軸はあまりないかもしれません。
でもあえて言うなら、新しい技術には興味がわくので、新しいものが出てきたときには早めに使って、自分なりに調査してきました。他のエンジニアの方と話したときに知らない技術があったら調べ、自分に足りないところを埋めていくということも心掛けています。
―「ミューオン」を設立した理由について教えてください。
会社を設立しようと考えていた時期に、スマートフォンが世の中に出回り始めました。電話というより通信機能を持った、持ち運べるコンピューターという印象を抱き、非常に衝撃を受けました。
こんな新しいデバイスが出たなら、新しいビジネスを展開できるタイミングだと感じ、プログラム開発経験がある友人を誘ってミューオンを設立しました。
ジャンルが異なる人との出会いで
新たなビジネスが生まれる
―初めての会社経営はいかがでしたか。
エンジニア出身なので、営業出身の方と比べてコネクションが少なく、最初の仕事をとるのに苦労しました。ただ当時、仕事上でお世話になっていた方何人かにサポートしていただけたので、なんとかWeb系の開発の仕事をいただけるようになりました。
―関わる人が増えることで、できることも広がっていったのでしょうか。
畑の違う方が入ってくることによって、変化が生まれ、新しいビジネスが生まれてくるという実感があります。だからこそ今も、個性的な経歴の方と知り合って話をすることは大事にしています。ビジネスに直接結びつくわけでなくても、さまざまな知り合いを増やしていくことで、「こういうことをしたいのだけれど、力になってくれそうな人を知らない?」といった相談を受けたときに、おつなぎできています。
―2010年の創業以来、ぶつかった壁はありましたか。
実は、あまり困難はありませんでした。というのも、私たちのビジネスは壁にぶつかりにくい形態のビジネスだと思っているからです。もともと社員の人数が少なく、最低限の固定費で済むこともあり、仕事が少なくなってもそれほど困るわけではありません。 ただその分、規模を大きくしようとするとコストが増えてしまうので、成長とコストのバランスの取り方が難しく、一歩踏み出すときの決断に迷いが生じることもあります。
―会社を経営する中で、どんなことを大切にして決断してきましたか。
決断するときは周囲の意見をよく聞きますが、最後には自分の中での自信を優先しています。人に意見は聞きますが、結果を人のせいにはしたくないですよね。「皆がこういった意見を言う中で、自分でこう決めた」と言えるようにしています。
―創業時からシステム開発に力を入れて事業を展開されているのですね。
創業当初はスマホ関連の仕事を始めましたが、そのときは仕事が全然ありませんでした。時代に対して早く動きすぎて、仕事がなかったと感じているのですが、あっという間に時代が私たちに追いついて、逆に追い越されてしまいました。
たとえば、スマホが流通し始めたころに、今までパソコンでしかできなかった作業をスマホのアプリでどこでもできる形にしていくというビジネスモデルを考えていました。しかし、その当時のアプリはスマホ単体で完結するような、辞書、アラームといったアプリばかりでした。皆、「アプリはスマホの中だけで使うもの」という認識だったのです。そのことに気づき、皆の意識に合わせてスマホ単体で動くアプリを作り始めたのですが、そのうちに自分が気づかないところで一気に、ビジネス向けのアプリをスマホで使えるようになる動きが進んでいました。私がエンジニア出身で、マーケティングが下手だったと、今となっては思っています。
―そういった失敗を今、どう生かしていますか。
今まさに苦しんでいるところですが、自分の力では無理なことがわかるようになってきたので、できない領域は誰かにお願いするようになりました。でもやってみないとわからないことは多いので、躊躇せず、トライアンドエラーでどんどん前に進んでいます。
発注元の求めるスキルを持ったエンジニアが
マッチングされるサービスを開発
―現在の事業内容を教えてください。
お客様の業務の自動化や効率化に関する相談を受け、分析したり、AIのシステムを開発したりしています。
―そうした中で、案件とエンジニアのマッチングサービス「D’SMASH」を開発されたのですね。
開発のきっかけはありますか。
私がエンジニアとして働いていたときは不況だったうえ、発注元から何重にも下請けが重なっている構造もあり、エンジニアの待遇は良くありませんでした。 ただ、発注元の会社が自分たちの案件に合うエンジニアを的確に見つけることができれば、必ずしも間の会社に発注しなくていいですよね。発注元の会社が最も適切だと思えるところに発注する仕組みを作りたいと思いました。
もちろん、営業力で仕事をとってくること自体は素晴らしいことだと思いますが、それで本当に発注元の求めることとエンジニアの能力がマッチしているかというと、微妙です。発注元のビジネスに合う適切なスキル、経験を持った方がアサインされる仕組みを目指しています。
―D’SMASHの仕組みを教えてください。
他のマッチングサイトは、案件とエンジニアの情報を掲載したデータベースになっていて、条件を検索すると仕事やエンジニアの情報が引っかかります。それに対してD’SMASHの場合は、あらかじめエンジニアにスキルのレベルや経験を細かく入力してもらいます。
そして、AIが自動でエンジニアのスキルや経験を判断し、それぞれの案件に対して、どのエンジニアがどれぐらい適しているかの点数をつけ、点数が高い人を提案してくれます。
―他社がそうした仕組みを実現できていないのに、D’SMASHが実現できたのはなぜですか。
一般的には、細かいことまで検索条件にすることは、検索する立場にとって負担になります。 その点、D’SMASHでは登録するスキルや経験が細かく、発注元が案件を入力すれば、その内容をAIが読み取って、エンジニアのスキルとのマッチングを自動的にしてくれます。そのため、入力してもらった案件情報やスキルシートをそのまま取り込むだけでよく、検索条件を複雑に組み立てる必要がありません。マッチングの結果はレポートで出てきますが、発注元は点数の高いエンジニアだけを見れば良いので、案件に合ったエンジニアを探す手間がかなり省けます。
―5月にリリースし、その後の反応はいかがですか。
始める前に100社ぐらいとお話しし、少なくとも2割以上はすぐに使いたいという反応でした。ただ、エンジニアを派遣する会社のほとんどは、案件が欲しいだけというところが多いですね。そうなると、案件が入っていないと使ってもらえないので、エンジニアの派遣会社に利用してもらうのは、まだ少しハードルが高そうです。
ただ、自社で案件もエンジニアも抱える大手の会社は、社内の数万件の案件、数万人のエンジニアのマッチングだけでも時間がかかります。一定のクオリティですばやくマッチングできるサービスは有用でしょうから、体験してもらおうと思っています。 ゆくゆくはそうした会社にも、自社で完結しない案件をD’SMASHに載せていただき、外部のエンジニアとのマッチングできるようになったらいいですね。
スキルを持つエンジニアが
さらに強みを伸ばせる環境づくりを
―今後目指すことは何でしょうか。
D’SMASHを使えば、それぞれの案件に適したスキルを持った人が自動的にマッチングされていくので、エンジニアはそれぞれの強みやスキルを伸ばすことに注力していけば、どんどんいい案件を取れるようになります。いつでも仕事が見つかる状況であれば、さらに自分たちの強みを伸ばすことにも注力できますよね。そんな状態を最終的に実現したいと思っています。
―どんなときに経営のやりがいを感じていますか。
D’SMASHもそうですが、自分で予測を立てて実行してみても、思った通りにならないことがほとんどです。そのときに、何が想定と違ったのか分析し、どうしたら解消できるかと考えることにやりがいを感じます。そしてそれがうまくいったときに、満足感を得られますね。 予測を立ててビジネスをするのは何年経っても難しく、情報収集が甘いなといつも痛感しています。自分にとって都合の良い情報ばかりを集めないよう、常に気をつけてはいますが、どうしても偏っていることが多い気がします。
―港区に本社を置いていることのメリットは感じていますか。
全員リモートワークをしているので、あまり港区で働いている実感はありませんが、もともと渋谷区に置いていた本社を港区に置いてから、より多くの人と会うようになったと感じています。
港区というブランドに自然と人が集まってきて、その恩恵を受けていると思います。
―渋谷区から港区に移転したきっかけはありますか。
弊社と一緒に仕事をしていたコンサル会社が、たまたま同時期にオフィスを移転することになったので、港区の同じビルにオフィスを構え、より連携しやすくしました。コンサル会社の社長が東京タワー好きだったこともあり、東京タワーがすぐ近くに見えるビルに入居しました.
お客様に寄り添い、
お客様のビジネスを盛り上げていく
―周囲とのつながりを大切にされているのですね。
周りの方々にいろんなサポートをしていただき、感謝の気持ちは持ち続けています。私一人ではビジネスはできないということも強く感じているので、様々な方との交流を自然と続けているのだと思います。
―人との関わりで大切にしていることはありますか。
あまり意識して人と付き合うことはありません。ただ、人とのつながりを大切にしているうちに「こういう場合はこの人に相談したい」という感覚が意識せずとも養われたかもしれません。自分の中で何かにもやもやしている段階でも、その分野を得意としている人に積極的に相談し始めることはありますね。
―創業からの14年間で、メンバーも変わってきましたか。
はい。事業内容が変わってくると、必要な人材も変わってきます。ちなみに私の中では、契約形態にはこだわっていません。プロパーになりたければプロパーになってもらいますし、自由に、他の仕事もやりたいということであれば、業務委託でかまいません。契約形態がどうであれ、一つのゴールに向かって、皆で同じ気持ちで進めることがチームにとって大事だと思っています。人を増やしたいからといって誰でもいいから社員にすることも考えていませんし、一方でゴールに向かって一緒に進んでくれる人であれば、誰でもウェルカムだと考えています。
―これから起業する人に向けたメッセージがあれば、お願いします。
まだ何かを成し遂げたわけではないので、たいそうなアドバイスはできませんが、起業家の皆さんとは、ぜひ一緒にビジネスをやっていけたらと思っています。
ミューオンは業界をリードしていくタイプの会社ではなく、お客様に寄り添ってお客様のビジネスを盛り上げていくという会社です。そういう意味で、新しくビジネスを始める皆さんの力になれることがあれば、お手伝いさせていただきたいです。「社会につなぐ」ということに関しては、ぜひ私たちにお任せください。
記事投稿日:2024年11月18日