株式会社メルカート

株式会社メルカート
ECプラットフォームを展開
分社化で新たなステージへ

渡邉 章公さん(左側)/座間 保さん(右側)

株式会社メルカート
渡邉 章公さん(左側)/座間 保さん(右側)

株式会社メルカート
代表取締役
渡邉 章公さん/Akihito Watanabe

2010年に株式会社ecbeingへ入社。エンジニアとして様々なクライアントのECサイト構築支援に従事。2016年よりSaaS型のECプラットフォーム事業に参画し、2018年に新サービス『メルカート』を立ち上げ。2020年にグループ会社の株式会社エートゥジェイへ事業と共に転籍し執行役員を務め、2024年に取締役に就任。
2025年、事業分社化に伴い株式会社メルカートの代表取締役に就任し、現在は次世代のCXプラットフォームとして事業者と消費者をつなぐ新しい価値を創出し続けることを目指している。

 

 

株式会社メルカート
執行役員
座間 保さん/Tamotsu Zama

森ビル(現森トラスト)に入社。その後、株式会社エートゥジェイの立ち上げに参画し取締役に就任。資金調達先に出向。その後、独立。経営を行いながらMBAを取得。
2017年に株式会社エートゥジェイ(以下、AtoJ)の業務委託を経てコンテンツマーケティングの事業責任者としてAtoJに復職。SEO・モール・広告・SNS・GrowthHack領域のデジタルマーケティング支援部署の立上げを行い、AtoJの執行役員兼マーケティング統括責任者に就任。
2025年10月 メルカートの分社化に伴い転籍。現在は株式会社メルカートのマーケティングやインサイドセールスの執行役員として従事。

 

 

豊富な機能と最新技術で
EC事業者を支える

 

―「メルカート」では、どのような事業を展開していますか。

 

渡邉:弊社はSaaS型のECプラットフォームを提供し、事業者のECサイト構築から成長支援までを一気通貫で支援する「カートシステムメーカー」です。

メルカートは、グループ会社であるecbeing内で立ち上がりました。ecbeingは国内パッケージ型ECシステムで17年連続シェア1位を獲得しています。その中で、より幅広いお客様が利用できるSaaS型サービスとして8年前に立ち上がったのがメルカートです。

私たちは前身の会社時代も含め、27年間にわたってECプラットフォーム事業を展開してきた歴史があります。

 

―メルカートとecbeingの違いはどのような点にありますか。

 

渡邉:ecbeingは既製品をベースに機能を作り上げていく、注文住宅のようなオーダーメイド形のビジネスです。一方でメルカートは、マンションのようにオーダーメイドではない代わりに、機能が自動でアップデートされるモデルです。

8年前の立ち上げ当時、アメリカではSaaSという概念が普及し始め、日本にもその流れが入ってきました。従来のパッケージモデルとSaaSモデルとの大きな違いは、作り上げていくか、使いながら進化していくかという点です。パッケージ型はオーダーメイドで柔軟に作れる反面、コストも時間もかかります。一方のSaaSは、用意された仕組みを使いながら、スマホアプリのように定期的にアップデートされていくため、常に最新の環境で新しい機能を利用できるのが強みです。

立ち上げ当初はパッケージ型が主流でしたが、今は逆転しています。「システムが人に合わせてくれる」という考え方から「システムに人が合わせてスピーディーに展開していく」考え方へと時代が変化する中で、ecbeingのようなエンタープライズ向けパッケージ型と、メルカートのように柔軟なSaaS型の2つのモデルで、事業を展開しています。

 

―競合が多い中で、貴社が長く成長を続けられた理由はどこにあると思いますか。

 

渡邉:東証プライムに上場している企業のグループのため堅実さを守りつつ、市場のトレンドを見極める力があります。初期のブームにすぐ飛びつかず、確実に根付くと判断してから参入していますね。

 

座間:AIブームでも早期に研究開発を開始しましたが、機能の公開自体は、ある程度市場としての土台ができてから本格的にリリースし始めました。

 

―メルカートではAIをどのように活用していますか。

 

渡邉:事業者さんがECを導入する目的は大きく2つあります。1つは業務効率化、もう1つは売上向上です。AI活用も、この2つの目的に対してバリューを出せるような仕掛けを意識しています。

業務効率化に関しては、ECサイトの管理画面にAIを組み込んで、文章構成や商品コメントの自動作成をサポートしています。人が手動でやっていた作業をAIが補助してくれることで、短時間でより最適な商品情報を届けられるようになっています。

売上向上の部分では、ECサイトに来たお客様に対して、AIがその人に合った情報をおすすめしてくれる仕組みを作っています。

 

―AIだけでなく、人によるサポートも強みだとうかがいました。

 

渡邉:SaaS型のプラットフォームは、「マニュアルを使ってください」というスタイルで、人の顔が見えないものも多いですが、ECはお客様を相手に商売するプラットフォームなので、それだけでは成長しません。私たちはECのノウハウやトレンド、お客様の業種業態に合わせた販促のテクニックなどを一緒に考えながら支援しています。

 

 

 

 

秘伝のノウハウで
導入企業の売上は前年比平均6倍

 

―お客様がメルカートを選ぶ理由として多いのはどのようなものでしょうか。

 

渡邉:一番は機能の豊富さです。メルカートの前身であるecbeingが20年以上かけていろんな機能を追加してきたこともあって、そもそものシステムが高機能なんです。ECサイトによくあるポイントプログラムやクーポンなど、さまざまな仕掛けを作れる機能が最初からそろっています。「今使っているカートの機能が頭打ちになってきたので、もっと機能が豊富なものを使いたい」という理由でメルカートが選ばれるケースが多いです。

また、グループ会社にはWebマーケティングを得意とするエートゥジェイもあるので、ECのプラットフォームとマーケティングを掛け合わせ、コンサルティングをしながらお客様のビジネスを牽引できるのも強みです。「カートのメーカー」というだけでなく、マーケティングまで含めてワンストップで支援できる点を評価していただいています。

 

―マーケティングとの掛け合わせは、顧客にとってどのような施策になるのでしょうか。

 

渡邉:事業者さんにとって一番大事なのは、「どういうお客様にどれだけ売れているか」なので、先月や昨年と比べた売上状況のレポーティングがビジネスのスタートラインです。私たちはサイトの健康診断のような形でデータを分析し、課題を発掘して、「次にどんな仕掛けをすればパフォーマンスが上がるのか」を提案しています。

 

―実際の導入効果はいかがですか。

 

渡邉:導入いただいたお客様の年間平均成長率は603%です。

サイトリニューアルの際にアクセスが落ちないような工夫や、運用後のカスタマーサクセスを含めた専門サービスのクオリティが成長率を牽引しています。

 

座間:例えば、リンガーハットさんが「CRM+」という分析機能を入れたことによって、ユーザーが商品をカートに入れた後、購入手続きをしない、いわゆる「かご落ち」に関する分析もできるようになり、対策した結果、単月の売上が前年比で215%アップしました。

業務効率化の事例としては、河合楽器さんが「カワイミニピアノ」というお子様向けのピアノの販売サイトを運営しているのですが、管理画面が使いやすくなったという声をいただいています。倉庫など関連会社との連携がうまくいくようになり、販売台数が前年比の150%を達成しました。

 

渡邉:その一方で河合楽器さんの業務時間は変わっていないんですよね。売上だけでなく効率化も進んだ例です。

 

―ECサイトができるまでに、どのぐらいの期間がかかりますか。

 

渡邉:早くて3ヶ月ですね。サイトリニューアルだと4ヶ月程度をかけてプロジェクトを推進することが多いです。ご契約いただいたタイミングで環境自体はお渡しして、そこから一緒にセットアップをしていきます。

ECサイトでは裏側のセットアップだけではなく、ショップのデザインを作り上げていくところに時間がかかります。お客様からブランドコンセプトやサイトの方向性などをヒアリングして、デザインの方向性を決めながらじっくりとUI/UXの設計をしていきます。

 

―企業の方々は人によるサポートを受けることで、実際にどんなことができるようになりますか。

 

渡邉:3ヶ月の立ち上げ期間では、ECサイトの構造や商品情報のセットアップに注力します。商品の見せ方や展開の仕方など、ECサイトのデザイン、設定、機能の使い方の知識が得られます。

その後は、カスタマーサクセスチームがお客様の戦略に基づいて、理想の顧客体験を作るための機能や施策をご提案します。

私たちはそのほかにも、お客様が運用を自社で内製化していくための情報提供や、機能をうまく使いながらECビジネスを展開するためのサポートもしています。お客様の中には、初めてECサイトを運営するところからスタートして、1年後には私たちよりも詳しくなるような方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

試行錯誤しサービスを刷新
分社化し新たな門出

 

―10月、メルカートがエートゥジェイから分社化したとうかがいました。その経緯を教えてください。

 

渡邉:メルカートというサービスは、グループ会社のecbeingで立ち上げ、5年前にWebマーケティング企業のエートゥジェイに移りました。そこでシナジーを作ってきましたが、EC市場の競争が激しくなる中で、メルカートはメルカートの領域でしっかりとポジショニングすることがグループ全体の成功につながると考えました。そこで、グループ内のそれぞれが強みを強化し、良さを組み合わせることで、さらに大きなシナジーを生み出せるのではないかという考えがありました。

 

――分社化によって変わったことはありますか。

 

渡邉:現場レベルで変わったことでいうと、ブランドを刷新したことですね。ロゴやカラーを一新して、ブランドコンセプトや事業戦略を全部立て直しました。

もともとEC初心者に幅広く使っていただくというコンセプトだったので、ロゴもカラーも比較的柔らかいものだったんです。ですが、中堅大手の企業様もSaaSを使いながらビジネスを推進する時代になったため、安心感や先進性など、私たちの価値がより強く反映されるようにしました。

 

―渡邉様のこれまでのキャリアを教えてください。

 

渡邉:私は15年前にグループ内のecbeingに新卒で入り、エンジニアとして配属されました。

その後の6年間で、プログラムを書くだけではなく、プロジェクトマネージャーやアカウントマネージャーのようなポジションに徐々に移行して、ビジネス全体を俯瞰してサポートする立場に変わっていきました。

そして7年目にecbeingで「新しいビジネスを立ち上げるから来い」と呼ばれたのが、SaaSであるメルカートの始まりです。当時3人のメンバーがいましたが、専任は私だけだったため、ほぼ1人でのスタートでした。4年間ecbeingにいた後、2020年にエートゥジェイに移り、そのタイミングで執行役となった以降は事業責任者という立場を務めてきました。

10月の分社化で、メルカートの代表取締役社長という立場になりました。

 

―事業責任者の立場から社長になり、変化したことはありますか。

 

渡邉:執行役、取締役、代表というステップを踏みましたが、代表という立場がほかと明確に違うのは、まず会社や従業員を守り、未来を考えるという責任感ですね。サービスの責任者以前に、会社自体を成立させないといけないという責任感が強くあります。

それから、代表になると外からの目がだいぶ変わります。グループ内外で、会社の顔として市場でのプレゼンスが上がったと強く感じるので、取締役のレベルではできないことができるようになると実感しています。

 

―座間さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

 

座間:私は森ビルという不動産デベロッパーでまちづくりをした後、エートゥジェイの創業メンバーとして2007年に会社を立ち上げました。もともとは、ほか2名の創業メンバーがシアトルに留学に行っていた時に、海外のスーパーでレシートの裏に広告が入っているのを見て、日本でもやろうと言って始めたのがきっかけです。そして、事業の過程でWebサイト作りが始まり、それが今の制作やデザイン構築につながっています。

私自身は資金調達をしたタイミングで出向して、広告営業に3年ほど携わっていましたが、親会社の経営不振を目の当たりにして、一度会社を出てMBAを取得し、自分で起業しました。

卒業後、エートゥジェイの子会社の経営管理の名目で戻り、デジタルマーケティング系の部署を立ち上げました。執行役員を経て、分社化のタイミングでメルカートに移り、今はマーケティングとインサイドセールスの担当役員をしています。

 

―ご自身の会社を立ち上げて経営した経験は、エートゥジェイに戻ってからどう役立ちましたか。

 

座間:会社の運営の幅広い知見を活かし担当業務以外の領域のボトルネックも気づくことができるようになりました。またマーケティングの知識やスキルセットについて、座学で学んだところを実務でアウトプットしながら経験したので、頭と体でしっかり覚えながら価値提供できるようになりましたね。

 

 

 

 

消費者の買い物体験を
より良くしていけるブランドに

 

―メルカートの今後の展望について教えてください。

 

渡邉:私たちはネットで物を売買するプラットフォームを提供しているので、消費者の皆さんが楽しいカートの環境を作っていきたいですね。買い物の体験をより良くしていけるブランドというのが、主軸のコンセプトです。

AIの進化など技術の変化に追いつきながら、スピード感をもって、このコンセプトに忠実に、お客様や消費者をハッピーにすることを極めていきたいと思っています。

手段としては、データとAIを活用して、効率とパフォーマンスを上げていくことが重要だと考えています。ECサイトはデータが集めやすく、お店よりも購買データや行動データがたくさん取れます。そのデータを武器にして、例えばAIを活用しながら、次に来ていただいた方により良い接客をしたり、初めて来ていただいた方にも初めてだと思わせないくらい、簡単に買い物できる体験を作ったりしていきたいと思っています。

コロナ禍が終わってリアルでの買い物も回復を見せてきているので、ECとリアル店舗を統合しながら、お客様がどこで買い物をしても同じような良い体験ができるようにもしていきたいですね。

 

―メルカートはDX、CX(顧客体験)、EX(従業員体験)を大切にしているそうですね。

 

渡邉:DXという言葉が流行りましたが、デジタルを活用するのはあくまで手段で、デジタルでより良い生活空間や仕事空間を作ることが主眼です。そのためには、デジタル人材の増加や、デジタルに融合している体験の中でお客様を幸せにするという考え方が大事だと思います。そのためにEXやCXという言葉が必ずセットになってきます。

CXの観点では、メルカートは事業者さんだけでなく一般消費者も使うサービスなので、お客様の先のお客様をいかに意識できるかが重要です。SNSやAIの急激な進化に伴って、お客様の行動や購買体験も変わっているので、より良い体験作りをテクノロジーの力で実現していきます。

EXの観点では、日本の企業の中でEC部門はまだまだ小さく、肩身が狭い状態です。デジタルを活用してお客様の体験を変えて、ECが会社の主軸になっていくと、クライアントの中でEC事業部のプレゼンスが上がっていきます。これはECだけでなく、AIやデジタル活用の推進といった会社自身の成長につながる可能性も秘めています。

カートのメーカーとしてDXとCX、EXを全て実現していきたいというのが、私たちの願いです。

 

 

会社の顔となるのが起業
覚悟を持って進む

 

―これから起業を考えている方に向けたアドバイスやメッセージはありますか。

 

渡邉:私は企業内起業をした立場なので、独立起業よりもどちらかというと楽をさせていただいていますが、それでも会社を任された代表という立場になることで、中でも外でも交渉力がだいぶ変わります。セールスの現場での見られ方も変わり、会社の顔として対外的に交渉していく際には、力強いエネルギーになると感じています。

ゼロから起業して、資金調達して投資をしながら未来の数字を作っていくのは大変ですが、市場に対してチャレンジすることは、自分の可能性を高めることにもなると思います。

 

座間:起業したい人へのメッセージは「起業しない方がいいよ」ですが (笑)、まずは本当に起業したいか、必ず自分に問いかけた方がいいと思っています。現実問題として、いずれ、借金にしてもエクイティにしても資金調達をしないといけないタイミングが来るからです。借金をするのであれば個人保証が必ずつき、自分のお金で借金するのとほぼ変わらない状態になります。それを乗り越えてでもやりたいかが大事です。

ベンチャーは成功するためにはやり続けないといけません。それを越えた先に、大きな資金調達や大きなリターンなどエキサイティングな事業運営や経験ができますが、2~3年ほど辛い時期は必ずあるので、その覚悟を持って起業することをおすすめします。

 

―港区にオフィスを構えている理由や、港区にオフィスがあって良かったことはありますか。

 

座間:エートゥジェイは横浜で創業し、後から港区に移ってきたんです。出資してくださった会社の社長さんが「日本の情報は港区に全て集まるから、仕事をするなら港区にオフィスを構えなさい」と言っていたので、私たちも港区に来ました。

実際に情報は集まってきました。異業種交流会に行っても人が多く、大きなベンチャーの方もいます。情報と人とお金は港区に集まっていると実感しますね。それから、利便性がいいので、営業活動しやすいところも気に入っています。

 

渡邉:私は渋谷区から港区に移りましたが、渋谷はビジネスではない用事で来ている人も多いですよね。私たちのような業態やビジネスの規模で、いろんな方々と同じ目線でコミュニケーションがとりやすいのは、圧倒的に港区だと感じます。

 

 

 

 

 

記事投稿日:2026年2月10日