リバティーンズ株式会社

リバティーンズ株式会社
アプリケーティングの理想を追求し
世界に挑戦

山口 雄大

リバティーンズ株式会社
代表取締役米国Liberteenz, Inc. CEO山口 雄大

リバティーンズ株式会社
代表取締役米国Liberteenz, Inc. CEO
山口 雄大さん/Takehiro Yamaguchi
■経歴
慶應義塾大学総合政策学部卒。大学在学中に友人とビジネスにチャレンジするなど、起業家としてのキャリアをスタートさせる。 大学卒業後、モバイル広告ベンチャー企業に入社。 2007 年リバティーンズ株式会社創業。モバイルに特化した広告代理事業、自社アプリ開発事業、アプリ開発受託事業の立ち上げを行う。 2014 年よりアプリに特化したサーチマーケティング事業を立ち上げ、事業を拡大させる。 2022年にAIを搭載したスマートフォンマーケティングツールをローンチ。 同年米国シリコンバレーオフィス開設。日本での会社を経営するとともに同時に米国で起業家として事業立ち上げを行っている。

 

iPhone発売初期に
自社アプリの集客ツールを開発

 

 

―貴社の事業内容を教えてください。

 

2007年に創業し、主に広告代理事業と、自社でマーケティングをしている企業向けのツール販売をしています。ツールは、広告代理事業で培ったノウハウをもとに、アプリマーケティングをAIで自動化したものです。2022年にローンチしました。 アメリカでは8割以上の企業が自社でマーケティングを実施しているので、このツールをアメリカでも提供できるよう、2022年からシリコンバレーオフィスを開設しています。

 

 

―アプリマーケティングに関する事業を始めたきっかけはありますか。

 

私がリバティーンズを創業した2007年当時に、自分たちでゲームアプリを作ってみたのですが、アプリへの集客が課題となっていました。そこで、まだあまりなかった集客ツールを自分たちで開発してみました。 ただこの当時は、iPhoneが発売され始めたばかりでアプリのマーケットが小さく、私たちのアプリが集客ツールの効果もあってダウンロード数で上位になっても、あまり売上は上がりませんでした。

そこで最も大きい市場であるアメリカで自分たちの作ったアプリを出してみて、さらに集客のノウハウを身につけていきました。その結果、アプリは北米を中心に月100万回ほどダウンロードされるようになりました。

広告費はその過程で20万円ほどかけましたが、それ以外の部分は全てオーガニックと呼ばれる、広告費をかけない形での集客でした。こうした私たちのノウハウが、現在のツールにつながっています。

 

 

―貴社の強みは何でしょうか。

 

 

スマートフォンアプリの黎明期からアプリビジネスに携わっていることと、マーケティング領域における圧倒的なPDCAの回数です。アプリの黎明期から開発やマーケティングに携わっていることで、何が変化し、何が変化しなかったのかを把握できています。このことは、アプリマーケティングにおいて、何が重要で何がそうでないかを把握する基盤になります。

また当初から実験的なアプローチでアプリマーケティングに関わるほぼ全ての領域で、膨大な実験的アプローチを行ってきました。このことにより、企業として比較された時に選ばれる理由の一つとなっていると考えています。

 

 

 

 

 

 

「広告費をかけない集客」にも力を入れ、
少額の費用で最大限の集客を実現

 

 

―貴社の強みは、どのように生み出されてきたのでしょうか。

 

2007年にゲームアプリをローンチしたときにはそもそも広告で集客するチャネルが限られていたため、その状況下で求められていたのは、 アプリストアの中でいかに認知度を上げるかが課題でした。そのための手法は、私たちが日本で最初に実践したと思っています。たとえばキーワードを1個変えたら、どのくらいダウンロード数が上がるのかを調べるための「ABテスト」を実施しました。このテストは、他社と比べて桁違いの回数だったはずです。

 

現在は、広告費を直接的にかけて集客するだけでなく、オーガニックユーザーと呼ばれる、 広告費をかけない集客もできるという点が私たちの強みになっています。同じようにマーケティングを支援する他社が有料広告を運用し、その有料広告から人を集めるのに対して、弊社は広告にとどまらずマーケット全体から人を呼ぶということに取り組んでいます。

実際複雑なことを行っていますが、 簡単に言うと「10万円の費用をかけて、10万円以外のところからお客さんが来たらうれしい」という話ですね。

 

 

 

 

 

 

―アプリマーケティングの理想を売るということを掲げられていますが、

具体的にどの様なことでしょうか?

 

たとえば、ゲームアプリの広告を見て、そのアプリをダウンロードしようと思った人も、何かのゲームアプリをダウンロードしようとぼんやり「App Store」を眺めている人も、同じように「App Store」のアプリ情報は読みますよね。このアプリ情報を改善すれば、どちらの人の集客にもプラスの影響が生まれます。こうした観点から、私たちはPDCAサイクルを回して、アプリ情報のキーワード設計をベストなものにしていきます。広告をどうするかということよりも、より本質的な部分でのマーケティングをしています。

 

これが私たちの掲げる「アプリマーケティングの理想」の一例ですが、なぜこのようなマーケティングをするかというと、お客様の理想を実現したいからです。 たとえば、お客様が「ラーメンを食べたい」と言っていても、よく聞いてみたら「スパゲッティがあるのならスパゲッティが食べたかった」というような場合があります。

今、お客様が言語化している希望と、「これがあったら嬉しくないですか?」と言われた後の希望は、全然違うと思っているので、「本当はこれをしたい」という希望を引き出した上でビジネスをしていくことを、私たちは「理想のすり合わせ」と呼んで大事にしています。 「お客様がこう言うから」とか「この商品がこうだから」というだけでの行動だと、ビジネスに深みが生まれず、つまらないですよね。

 

―トレンドやアルゴリズムがすぐに変わる世界だと思いますが、どのように対応しているのですか。

 

テクニックは変わっても、本質、向かっている先は変わりません。たとえば検索一つとっても、探しにくいように変えることは絶対にありません。「探しやすいようにする」という方向性は変わりませんよね。 ですから、お客様をきちんと見ていればマーケティング支援の方向性は必然的に定まってきます。何回も手法を試すことはしますが、大枠の方向性は決まっているので、その中でどう回していくかという話です。

 

私たちは、2007年から有料広告とそうでない形のマーケティングの双方に横断的に取り組んできました。近年、ユーザー情報の保護が進み、これまでの「ユーザー情報をもとにして有料広告を打つだけ」といったマーケティング手法がとりづらくなっている中で、ようやく私たちのような形のマーケティングが注目され始めてきました。本質を追いかけていれば、自分がその時代に合わせるのではなく、どこかで自分たちが必要とされるタイミングが来るのだと思います。

 

 

 

 

 

 

お客様とすり合わせた理想に向かって
本気で挑戦しビジネスを「楽しむ」

 

―会社として大切にしている理念はありますか。

 

私たちは会社のパーパスとして「世界で一番、ビジネスを楽しむ会社を創る」ということを掲げています。ただ、ここでいう「楽しい」とは「楽」ではなく、喜怒哀楽全てのことです。高校野球も、1回戦で負け続けるより、甲子園を目指した方が楽しいと思っています。ビジネスも同じです。私はビジネス自体がとても好きだからこそ本気で挑戦したいですし、従業員にもビジネスにおける喜怒哀楽を存分に味わってほしいと思います。

そういう意味では、目指す理想をお客様とすり合わせることができれば、お客様も私たちも「楽しい」状態が生まれます。「本当はこうしたい」ということをお客様と共有し、本気で新しい価値を生み出すために挑戦できるところが、ビジネスの楽しさだと思っています。

 

―創業のときからそのような理念を掲げていたのですか。

 

いえ、創業時にはこのような考え方には至っていませんでした。ここ数年で考えたことです。

創業からしばらくは、とにかく必死で、とくに組織づくりが大変でした。売上を上げていくことはできても、チームワークのある組織にしていくのは難しかったのです。 4年目くらいのときに30人規模の会社になったのですが、メンバーに仕事を任せることと、放置しないこととの両立に苦労しましたね。結果として事業がうまく回らず、1,2年のうちにメンバーを3人にまで減らしました。でもその2年後、30人のときの売上を上回るまでに会社を成長させることができました。

 

 

―ピンチをどう乗り切ったのでしょうか。

 

人員整理をするのは、精神的にもつらいことです。

落ち込んでしまい、このまま仕事のことは一切考えられないと思ったので、まずは自分の気持ちをどう高めていこうかと考えました。プライベートのくだらないことも含め、いろいろなことを試しましたが、最終的には仕事でぶつかった課題を解決できないと、気持ちは戻らないと気づいたんですよね。

そして、もう1度全ての事業を考え直して、海外でも通用するようなビジネスにしようと思い、今のビジネスモデルができました。極端な言い方ですが「誰がやってもどうにかなる事業にしたらいい」という考えがあり、人材育成や組織づくりも「誰がやってもどうにかなる」レベルまでイチから見直しました。

 

 

―人材育成や組織づくりで意識したことを教えてください。

 

今は、SNSで他人と自分を簡単に比較できてしまう時代です。自己肯定感が低くなりがちだと思うので、組織をマネジメントしていく上では、まずは入ってきた人に自信を持ってもらうことが重要だと考えています。自信を持つためには、自分にとって居心地のいい「コンフォートゾーン」を超えることが大事です。

自信を持つためには、自分にとって居心地のいい「コンフォートゾーン」を超えることが大事です。そのためにも、怖い、面倒くさいと思うものに対してチャレンジすることが求められるでしょう。ただ、コンフォートゾーンを1人で超えるのは簡単ではないので、いかに周りが支えていける組織を作っていくかが大事だと思います。

 

 

 

起業から事業拡大まで、全てを担わなくていい
本気で挑戦しビジネスを「楽しむ」

 

 

―山口さんが起業というチャレンジに踏み切れたのはなぜでしょうか。

 

私は就職活動をする時に、これからの世の中がどうなるかを自分なりに予測しました。当時、日本ではGDPの約7割を製造業が占めていましたが、アメリカはサービス業が中心になっていました。ですから、日本でも世界でも今後、サービス業が拡大していくと考えました。サービス業の中で今後最も伸びる業態はインターネット業界、さらにその中でも伸びるのはモバイルだと考え、新卒時にはモバイル広告のベンチャーに入りました。そのときには起業したいということも会社に伝えた上で入社し、7カ月後には独立しました。

高校卒業後すぐには大学に行かず、19歳のときに友人と一緒に起業を経験したことも、独立に踏み切れた理由ですね。1度自分でルートを外れる経験をすると、それが当たり前になります。リバティーンズを起業したときは、「純粋に面白そうだからやる」という気持ちしかありませんでした。

 

 

―港区は起業支援に力を入れており、山口さんのように起業される方も増えています。
港区で起業してよかったことはありますか。

 

港区のオフィス街は、平日はとても活気がありますが、休日はとても静かなんですよね。落ち着いていて「オン・オフ」があり、ビジネスをするにも住むにもいい環境だと感じます。

 

―今後、会社をどう展開させていきたいですか。

 

日本はアメリカ、中国に次いで世界3位の市場規模があるので、日本進出のニーズはまだまだあると思っています。 また、反対に日本の企業が海外展開する際のアプリマーケティング支援も行っています。海外のアプリディベロッパーが多くなる中で、日本の企業のプレゼンスを今よりもっと発揮してほしいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

記事投稿日:2024年8月7日