Intellect Japan株式会社

Intellect Japan株式会社
メンタルヘルスケアを身近にして企業の人的資本経営をサポート

松田 ジェフさん

Intellect Japan株式会社
Japan Country Manager松田 ジェフさん

デジタルを活用したメンタルヘルス・ソリューションを提供

 

 


Intellect Japan株式会社
Japan Country Manager
松田 ジェフさん
Jeff Matsuda


[プロフィール]
1976年生。アメリカ育ち。1998年カリフォルニア大学バークレー校卒業、2002年コロンビア大学国際政策大学院卒業後に来日。モルガンスタンレー、BNPパリバ、UBSなどの大手外資金融機関にて証券業務を経て、複数のグローバル・スタートアップの日本市場開拓に従事。2022年9月よりIntellectの日本カントリー・マネージャーに就任。

 

メンタルヘルスケアをアプリで身近に。

 

Intellect Japan 株式会社は、アジア最大のメンタルヘルスケアスタートアップでシンガポールに本社を構える Intellect Company Pte. Ltd.が 100%出資する日本法人です。Intellectは、アジアを中心に 20 の国と地域の300 万人以上の利用者に対して、スマートフォンアプリを用いた企業向けメンタルヘルスケア・ソリューションを14言語で提供しています。
2022年10 月にIntellect Japan株式会社を設立し、アプリの日本語版並びに日本語でのコーチング機会の提供を開始しました。

 

メンタルの状態は絶好調の時もあれば、調子がよくない時もあります。私たちのメンタルヘルスケア・ソリューションはどのような状態でもメンタルヘルスケアを提供できるサービスとなっています。
一番重視しているのは「メンタルヘルスケアを身近に感じてもらうこと」です。これまでメンタルヘルスケアというと、病院やカウンセラーをネット検索して、アポイントメントをとり、病院やカウンセリングルームまで足を運んでケアを受ける、というハードルが高い印象があったかと思います。Intellectのアプリであれば、スマートフォンでより身近に、より簡単にメンタルヘルスケアを受けることができます。

 

私たちは基本的にB to B to Cのビジネスモデルを展開しており、企業とご契約をして、導入企業の従業員の皆様にアプリでサービスを提供します。従業員の皆様が、メンタルヘルスケアに簡単にアクセスできる、身近にあるサービスとして展開していきたいという想いがあります。

 

メンタルヘルスケアの重要性が世界的に高まっている背景。

働く人一人ひとりのメンタルヘルスケアの重要性が世界的に高まっている背景として、「価値観の多様化」「人的資本経営」が挙げられます。

 

「価値観の多様化」についてですが、近年コロナ禍のインパクトで、働き方や生き方の価値観や考え方が多様化し、それに対する企業の対応も変化していますよね。
例えば、企業でハイブリッドワーク、リモートワークで働く人は「自由に働きたい」という気持ちがあるなかで、それとは裏腹に「組織とつながりたい」という気持ちもあるわけです。このような気持ちのギャップを抱えながらも、ワークスタイルがどんどん変化している状況だと思います。
この状況が働く人たちのメンタルに与える影響は小さくなく、メンタルケアに簡単にアクセスできるような環境が大切になってきていきます。

 

また、「ヒト」をコストとして考える従来の経営手法から、「ヒト」を資産として考える「人的資本経営」が世界的な潮流になっています。2018年の「人的資本に関する情報開示のガイドライン(ISO30414)」の発表、2020年のアメリカ証券取引委員会(SEC)による上場企業に対する人的資本の情報開示の義務化に続き、2021年にはEUで人的資本を含む非財務情報の開示がルール化されました。そして、2023年3月期より、日本においても有価証券報告書に人的資本情報の開示が義務付けされます。
例えば、休職者数の割合が高い企業は、投資家から「成長性には限界があるだろう」とみなされる可能性があり、人的資本に関する情報が投資の指標となってきます。
つまり、従業員の企業に対するエンゲージメントと企業業績に影響を与える個々の従業員のパフォーマンス維持の重要性が高まってきているのです。

 

Intellect Japan は、精神疾患が 5 大疾患(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)の中で最も多い日本において、日本市場独自の特性を反映したプロダクトや、サービスの開発を進めます。そして、日本企業や日本に拠点を持つすべての企業に対してデジタルメンタルヘルスケアを通した人的資本経営実現のサポートを提供していきたいと考えています。

 

日本における企業のメンタルヘルスケア対策の課題

 

日本の企業に「従業員に対してメンタルケアを行なっていますか?」とお伺いすれば、大半の企業から、ストレスチェック(2015年の労働安全衛生法の改正によって50人以上の労働者がいる事業所で義務付けられた検査)を行なっているし、産業医も置いているし、EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)も導入しています、という答えが返ってくると思います。

 

しかしながら、「ストレスチェック」においては、早期のメンタル不調発見が困難であることに加え、「産業医面談」においても、メンタル不調が顕在化したうえで実施されるため、対処療法的アプローチになっている点が課題として考えられます。

 

 

そこで私たちは、日本は中間層(メンタルの状態が「良好」と「クリニカル」の間の状態)への予防的ソリューションが不足している状態であると考え、そこに訴求しています。

 

厚生労働省労働安全衛生調査、全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書では、実際の高ストレス者割合が60%であるのに対して、ストレスチェックの結果では、高ストレス者割合が20%を下回ります。ここに40%の差「ストレスチェックの壁」があるのです。

 

ストレスチェックの結果が会社に筒抜けになっていないか、ストレスが高い、メンタル不調という理由で人事評価に影響が出てしまうのではないか、という恐れをもっている従業員の方もいらっしゃるのではないかと推測されます。
この結果から、ストレスチェックに従業員がオープンに答えられているのか、実際に企業は高ストレス者を把握しきれているのか、という課題が浮き彫りになります。

 

 

メンタル不調に対処するのではなく「予防」する。

 

Intellectのメンタルヘルスケアアプリは、誰もが身近に簡単に、いつでも自分のスマートフォンからコンテンツやケアにアクセスできることが大きな特長です。アプリを通してプライバシーが守られたなかで、専門家からケアを受けられます。これが身近になることは、非常に価値があることだと考えています。

 

欧米では、コーチングやカウンセリングなど専門家とセッションすることに関して50%を超える方が「体験済み」とおっしゃるのに対して、日本の場合わずか5〜6%です。
スタートラインとして、専門家とのセッションでメンタルの不調をケアするという文化が違うのですが、今後日本はこういった文化を取り入れることによって、メンタルヘルスケアに積極的に取り組んでいく必要があると思います。

 

ひと昔前は、怪我に対してリハビリでしたが、昨今では、怪我を予防するためにパーソナルコーチをつけてジムで体を鍛えるという動きがあると思います。これは、欧米からきた流れではないかと思います。
メンタル不調になって休職してしまった人を、リハビリのようなかたちで復職させることももちろん大事なのですが、休職してしまうところまで落ちきらないように「予防する」という観点でメンタルヘルスケアに取り組むことも大事です。対処ではなく予防する、という意味合いが強いと思います。

 

海外では企業がメンタルヘルスケアを積極的に導入するによって生産性が上がり、投資に対してリターンが生まれ、会社が健全に経営されるということが実証されています。私たちは、日本人に適したメンタルヘルスケア・ソリューションの開発とサービス提供を行うことで、企業経営者の課題である人的資本経営の達成をサポートしていきたいと考えています。

 

科学的根拠のあるメンタルヘルスケアをカジュアルに提供。

 

 Intellect Japan が提供するメンタルヘルスケア・ソリューションは、「セルフケアプログラム」と「コーチング」により構成されています。

 

「セルフケアプログラム」は2種類あります。利用者が抱える悩みや、解決したいメンタルヘルス課題に対して、5 分程度の短時間で完了する「ミニセッション」と、解決したい課題に対して 2 週間程度の時間をかけて解決方法を学ぶ「学習コース」です。

 

「ミニセッション」は、例えば、今日は少しイライラしてしまって落ち着きたい、というときにアクセスしていただくと深呼吸のエクササイズがあります。簡単に対処できるクイックなセッションを設けています。
また、「学習コース」は、利用者が抱えているメンタル課題に合わせて、ストレスマネジメント方法や不安・心配への対処方法などの読みものを選び、画面をスライドしながらコンテンツを読んで学習することができます。

 

「コーチング」は、チャットや電話会議で 24 時間 365 日アクセスすることが可能です。コーチングを行うコーチ陣は、コーチングに関する専門的知識を有し、認定を得たコーチにより行われ、利用者は複数の認定コーチ 陣の中から最も適したコーチを選択して、コーチングを受けることができます。

 

メンタルケアを身近に、よりカジュアルに使えますが、しっかりと科学的に立証されたサービスになっていますし、シンガポールではさまざまな研究・教育機関との共同研究を行なっています。

 

プライバシーが保護された状態で企業は集約データを把握。

私たちはテック企業ではありますが、メンタルヘルスケアのサービスということから、人と人とのつながりを大切にするヒューマンタッチな側面も大きいです。

 

Intellectのソリューションを導入していただいた際には、私たちのカスタマーサクセスの担当者が、導入企業に合わせてプランを立て、ローンチウェビナーとして社内広報をお手伝いします。
それによって、従業員の皆様にIntellectについて知っていただくことを大切にしています。
「導入したから使ってください」というだけでは、従業員の皆様に使っていただけないと考えているからです。
導入企業のご担当者様へのヒアリングを重ねて実装させていただくことにより、まずアプリの認知度を上げ、従業員の皆様に理解していただき、利用率向上に重きを置いたサポートを提供しています。

 

 Intellect は、個人に関するデータには、第三者が情報を閲覧できない仕様になっており、利用者のプライバシーが保護された状態でご利用いただくことが可能です。コーチングの内容は企業には伝わりません。
企業は、組織全体のメンタルヘルスデータ、例えば、従業員のウェルビーイングレベルやストレスレベル、コーチングセッションの利用率などを、個人を特定できない集約データとして把握することができます。
従業員のメンタルコンディションに加え、利用率が可視化されることで、部門ごとのエンゲージメ ント状況やストレスレベルを把握することが可能になり、メンタル不調が発生する可能性が高い部門の早期発見と重症化の予防対応が可能となります。

 

 

メンタルヘルスケアの取り組みは「投資」である。

先に申し上げた通り、日本における企業のメンタルヘルスケアは“法的で定められた範囲は”しっかりやっている、という状況だと思います。
「従業員の立場に立ち、従業員のためを思って何かしたい」というよりは、法で定められているから取り組む、といような文脈の方が強いのではないかと感じることもあります。
働き方が変わり、「健康経営」「人的資本」を大事にする企業が増えていくなかで、まず考えなくてはならないのは、「なぜ従業員のメンタルヘルスケアに取り組むのか」ということですね。
従業員のメンタルヘルスをなぜ大切にしたいのか、組織のトップから方針を決めていただくことが必要になってくるのではないかと思います。

 

従業員のメンタルの状態をよりよくし、一人ひとりが幸せになることによって、生産性が上がり、数字で見える組織の成果につながります。このような取り組みを「コスト」と捉えるのではなく、人的資本に対する「投資」という位置づけで考えていただくことが、企業が今後メンタルヘルスケアに取り組む上で大切なことだと思います。

 

 

日本におけるメンタルヘルスケアを当たり前に。

これから、Intellectのサービスを展開していくにあたり、何よりも日本の皆様にはメンタルヘルスケアをより身近に感じていただきたい、という強い想いがあります。

 

まだまだ日本において「メンタルの不調=特別な症状」という偏見があると思います。メンタルの不調は「我慢して当たり前」とか「人に相談するものではない」と捉え、相談できても身近な家族や信頼できる友人にだけ、というパターンが圧倒的に多いのではないでしょうか。こういった考え方をどんどん変えていきたいです。

 

「燃え尽き症候群」や「モチベーションが上がらない」など、軽度な症状もメンタル不調のひとつであって特別ではなく、誰にでも起こり得る症状です。メンタルが不調になること自体は悪いことではなく、それを放置することが悪いことです。ケアすることで良くなるものなんだ、という認識を日本で当たり前にしていきたいと思います。

 

Intellectのサービスによってより身近にメンタルヘルスケアをお届けできることで、日本の皆様のメンタルの状態を良い方向へ変えていきウェルビーイングを実現したうえで、企業の人的資本経営実現のサポートも提供してまいりたいと思います。

記事投稿日:2023年3月8日