インキュベイトファンド株式会社

インキュベイトファンド株式会社
起業家の支援とアナリストの育成
日本に新しい価値を築く
類のないベンチャーキャピタル

清水 夕稀さん / 下原 右多さん

インキュベイトファンド株式会社
清水 夕稀さん / 下原 右多さん

インキュベイトファンド株式会社
事業開発アナリスト
下原 右多さん/Yuta Shimohara
広島県出身。一橋大学商学部でコーポレートファイナンス(特にクロスボーダーM&A)を専攻し、3・4年次にはハワイ大学シドラービジネススクールへ留学。一橋大学剣道部では副主将として活動。2021年、インキュベイトファンドに参画。事業開発アナリストとして新規投資先の発掘に従事。

 

 

インキュベイトファンド株式会社
PR・コミュニケーション ディレクター
清水 夕稀さん/Yuki Shimizu
2014年、株式会社ビズリーチ(現・ビジョナル株式会社)に新卒一期生として入社。2017年11月インキュベイトファンド入社。起業家、応援者などスタートアップを取り巻くエコシステム全体のコミュニティ構築・自社と投資先の広報を担当。早稲田大学文化構想学部卒。

 

 

資金だけでなく事業を支援する
それがベンチャーキャピタルの本質

 

―貴社の事業内容とファンドの特長を教えてください。

 

下原さん:私たちの仕事は、出資者から預かった資金をスタートアップ企業に投資し、その企業の成長をサポートすることですが、当社の投資手法は、ベンチャーキャピタリスト自らの投資仮説を起業家に対して提示するところから始まります。ベンチャーキャピタルの多くは、成長が予測される企業を見つけてきて投資を行うのが一般的です。

事業の“目利きをする”のではなく、ベンチャーキャピタリストとして社会に求められる事業や企業がなんであるかを徹底的に考え、起業家とそれを共に創るというのが考え方の根底にあります。自分が投資・経営したい事業案を日ごろからストックし、近い仮説やビジョンを持っている起業家を探します。彼らのWillやCanと自分の投資テーマやビジョンがシンクロすれば、投資を行っていくようなスタイルになります。

 

投資先や投資実行以前の起業家に対する支援スタイルにも特徴があります。一言でいえば“泥臭さ”や”粘り強さ“を大事にしています。スタートアップ経営は非常に不確実性が高く、経営課題も大小問わず毎日生まれます。それらに対して、時に自分も手足を使いながら支援に入り、『絶対に失敗させない』という精神で起業家と向き合っています。

私も、初期チームメンバーの組成、営業先の開拓、PRなど投資先の実務面にも積極的に関与しています。 当社に所属するアナリストの多くは、将来的にベンチャーキャピタリストとしての起業を目指しており、組織の力でなく個人の力で起業家を支援することが求められている点も弊社の特徴の一つです。

 

インキュベイトファンドでは、アナリストは一定の期間を過ぎたらベンチャーキャピタリストとして独立することが奨励されています。そして、この方針は会社全体で共有されています。インキュベイトファンド内での昇進や代表パートナーへの道筋は明確に示されておらず、この点が他の日本のベンチャーキャピタルとの違いになります。

当社はベンチャーキャピタルの拡大が業界の成長につながり、そして最終的には人々の暮らしや社会経済への在り方を変えるインパクトにつながるものだと考えています。私も学生時代から起業や企業経営に興味を持っていて、インキュベイトファンドの魅力に惹かれて入社しました。

 

 

 

 

日本の投資機関産業を変える
かつてない挑戦

 

―アナリストを育成し、独立を勧める。なぜ、このような経営方針になったのですか?

会社の成り立ちを聞かせてください。

 

清水さん:当社の創業者で代表パートナーの一人である赤浦は、日本で最も歴史のあるベンチャーキャピタルの出身です。1991年のバブル崩壊と同時に新卒でベンチャーキャピタルに入社し、日本と海外で業界が果たしている役割や仕組みの違いを目の当たりにし、「日本の失われた30年」の理由の一つとしてベンチャーキャピタルの力不足があったのではないかと感じていました。

戦後からバブルの崩壊にかけての高度経済成長期で自動車産業のような大規模な産業が発展した背後には、行政や商社、大手銀行などの支援があったものの、それに比べるとベンチャーキャピタルの影響は限定的なものであったと言います。

しかし、アメリカでは、起業のプロセスにおいて、ベンチャーキャピタルの存在は欠かせません。キャピタリストは起業を志す若者や専門分野に長けた研究者に起業のきっかけを与えます。ベンチャーキャピタルはネットワークや資金を提供するだけでなく、さまざまな経営支援をおこなうことでスタートアップの事業が始まります。

当時の日本ではベンチャーキャピタルは金融業のようなビジネスモデルであり、上場が見込まれる企業への出資が主流でした。赤浦は、日本とアメリカのベンチャーキャピタルへの考え方の違いに大きなギャップを感じていたようです。このような経験からジェネラル・パートナーが個人で意思決定ができるパートナーシップ制を導入したベンチャーキャピタルを立ち上げる決断をしました。私たちインキュベイトファンドが目指すのは、ベンチャーキャピタルとして影響力を持ち、新しい産業を創り上げられるような重要なプレーヤーになることです。

 

下原さん:私が大学生の時にインキュベイトファンドの新卒採用説明会で印象に残ったのは、パラレルアントレプレナーについて述べられたものです。パラレルアントレプレナーとは、同時多発的にゼロから事業を起こす人のことを指します。また赤浦の「GAFAに投資するのではなく、GAFAをつくる」という言葉に強い衝撃を受けました。それは、学生たちに対して、ただ大企業に入るのではなく、自分たちの力でGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)のような大企業をつくるべきだというメッセージでした。赤浦がこのようなスタンスを採用するには、ベンチャーキャピタルとしての責任感や可能性を感じているからだと私は思います。

創業者の1人として、彼は日本のベンチャーキャピタルがもたらす変革と成長に貢献し、新たな産業をつくり出すことの責任を感じているように思います。そして、その可能性を追求し、若手の才能を育て、産業を生み出すことで、日本のベンチャーキャピタル業界に新しい価値を築こうとしています。

 

 

 

 

投資先の企業全体の成長を支える
最も頼りになる存在へ

 

―経営支援に特化したベンチャーキャピタルは一見するとコンサルティングに似ているように思えますが、貴社とコンサルティング会社との違いは何でしょうか?

 

下原さん:コンサルティング会社は、基本的にクライアントから課題が与えられ、その課題に対する分析や結果の提供をおこない、その対価として報酬をいただくビジネスです。基本的にはプロジェクト単位で経営に関するアドバイスや改善提案を行い、関与の期間もプロジェクト単位となり、報酬もそれに連動します。私たちは、投資先の企業が成長すれば、それに連動して私たちも報われるシステムになっています。だからこそ、結果にこだわります。結果に応じて報酬が発生する仕組みなので、起業家や投資先の成功が私たちの利益につながります。責任感やインセンティブが発生しやすく、コンサルティングファームとは異なるモチベーションで仕事に取り組むことができます。コンサルティングが特定の部分に対するアドバイスやサポートに徹するのに対し、ファンド系の支援は企業全体の成長を目指すものと考えられます。

ただし、支援する企業数が増えると、一社当たりのサポートに十分な時間をかけられなくなります。だからこそ、当社は投資先を厳選し、数ではなく一社あたりの成長に期待するのです。当社には、投資実行をするフロントオフィス、バリューアップ・支援に特化したミドルオフィス、そしてファンドの管理をおこなうバックオフィスの三部門があり、投資先の企業に対して、総力を上げてサポートする体制が整っています。投資先にとって当社は最も頼りになる存在であるべく常に進化をしていきたいとメンバー全員が考えています。

 

 

 

 

業界がひとつになって目指す
ベンチャーキャピタルが集う街

 

―港区にある麻布台ヒルズがベンチャーキャピタルの集まる拠点になると話題ですが、貴社と港区のつながりについてお聞かせください。

 

清水さん:赤浦と森ビルさんとの関係が20年以上あり、以前のオフィスも港区の赤坂アークヒルズにありました。アメリカのシリコンバレーには、「サンドヒルロード」というベンチャーキャピタルが立ち並ぶストリートがあるのですが、赤浦はこのシリコンバレーをモデルにベンチャーキャピタルが集まる場所を日本にも作りたいと構想していました。

2023年11月に開業した麻布台ヒルズには、当初から70社ほどのベンチャーキャピタルが集まり、最近では独立系ファンドやコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)なども増えるなど思い描いた構想に前進しました。当社も麻布台ヒルズに新しいオフィスを設け、この場所がベンチャーキャピタルの集う日本の「サンドヒルロード」となり、多くのスタートアップが生まれ発展する場になるように願っています。

 

 

 

 

業界分析に精通する
投資機関が今注目する産業は?

 

―今後ますます投資機関産業の発展に注目が集まりそうですね。投資家の視点で今、最も注目する業界・ジャンルはありますか?

 

下原さん:私の個人的な気持ちから話すと、優れた技術や人材がビジネスを通して公共福祉の実現に寄与する世界を創っていきたいと考えています。分かりやすく利益を生みやすい、資本市場で評価を受けやすい企業に対して資金や人材が集まりがちですが、長期的に社会全体の利益につながる大きなテーマに対して投資行い、経済的価値も同時に実現していくことに取り組んでいきたいです。

 

具体的に幾つか例をあげると、まずエネルギーや気候変動対策に注目しています。現在、社会全体が地球の未来に不安を抱き、エネルギーの分野では長期にエネルギー貯蔵技術の進化や、半導体技術、電力消費プロセスの改善に乗り出しているのが理由のひとつです。大きなブレイクスルーが期待される技術の種が日本には多く存在しており、これを社会実装することのインパクトは大きいと考えます。

もう一つの関心事は、高齢者向けのビジネスです。この分野ではさまざまな課題が考えられますが、介護や医療業界は規制が厳しく、同様のビジネスモデルがたくさんあって模倣されやすいです。そのため現場で働く医療従事者や介護士などのスタッフの給料は低く、十分なサービスが行き届かない原因となります。この課題は国策でも挙げられていますが、改善するには、業界全体に新しい仕組みを導入する必要があります。共通のオペレーションを改善するなど、新しい技術を活用して課題を解決できるかどうか、ビジネス的な発想で仕組みを改善することに個人的に興味があります。

 

 

 

変わりゆく業界で変わらない想い
確かな未来を力強く描いていく

 

―貴社のこれからのビジョンを教えてください。

下原さん:新しい投資テーマや社会課題には常に挑戦していきたいと思っています。創業当初はインターネット黎明期で、スマートフォンを活かしたゲームやコンシューマ向けのサービスに投資してきました。近年、大企業向けのソフトウェアビジネス、フィンテック、ヘルスケアなど、インターネットの領域を超えた新しい分野にも注力しています。また脱炭素や安全保障に関わるテーマも見逃せません。これらに関連する領域に積極的な投資を計画しています。これまでのインターネット領域から、より大きな世界規模の技術やインフラに焦点を当て、日本の技術力を世界に発信していく方針です。スタートアップ業界全体のトレンドを見据え、インキュベイトファンドが先駆けとして、これらの分野に積極的な投資をおこないたいと考えています。

 

清水さん:当社は、ベンチャーキャピタリストの育成にも注力しています。ベンチャーキャピタルは、起業家の最大の支援者であり、このスタンスは創業以来、一貫して今も変わりません。近年では女性の投資家の活躍が目立ち始めました女性が代表を務めるベンチャーキャピタルや、女性キャピタリストで構成される業界団体も誕生しています。今後もさらに女性の活躍の場は増えていくと考えています そして、スタートアップ企業の増加に伴い、ここ数年でベンチャーキャピタル業界への注目が高まっています。ベンチャーキャピタルやCVCなどの投資機関が増えていくなかで、私たちは自らがトレンドを創り出し、今まで以上に主導的な役割を果たしていきたいです。そのため、同じような意欲を持ち、未来を創っていける方が、スタートアップの世界に参加してくれることを期待しています。

 

 

     

 

記事投稿日:2024年3月31日