HIRAC FUND

マネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社
HIRAC FUND
新たなイノベーションを起こす
起業家と伴走する投資ファンド

檜山 悠太朗

HIRAC FUND
シニア・アソシエイト檜山 悠太朗

マネーフォワードベンチャーパートナーズ株式会社
HIRAC FUND
シニア・アソシエイト
檜山 悠太朗さん/Yutarou Hiyama
英国ロンドンの大学で経営学/金融学を専攻。3年で卒業後(academic acceleration)、EY税理士法人に入社し国際税務アドバイザリー及び国内金融機関のコンプライアンス業務に従事。大学在学中には東南アジア投資に特化した独立系ベンチャーキャピタルのシンガポールチームにインターンとして参画し、企業価値の算定などを担当。HIRAC FUNDでは投資先のソーシングやDDに携わる。

 

 

投資先はスタートアップが中心
共に成長するパートナーでありたい

 

―貴社の事業内容を教えてください。

 

当社は法人向けバックオフィスSaaSやPFMサービスなどを提供する株式会社マネーフォワードの完全子会社で、ベンチャーキャピタル事業を展開しています。

「HIRAC FUND(ヒラクファンド)」は、現在2ファンドを立ち上げており、2号ファンドはまだ立ち上げている途中です。(※1)80億円規模のファンド組成を目標にしており、1号ファンドとあわせて合計100億円以上のファンドを目指しています。

※1このインタビューは2023年11月中旬に行われました

 

ポートフォリオはテクノロジーによる社会課題解決をおこなうシード・アーリー期と呼ばれるサービスの提供開始の間もないスタートアップを中心に投資することが多いですが、有望なスタートアップにはステージを問わず積極的に投資をおこなっています。

投資先はパートナーたちのつながりで紹介いただいた企業や、港区など行政主催のイベントで出会った企業などさまざまです。DX・SaaS関連の企業が多いですが特定の業界や分野にこだわっていません。

 

まだ歴史の浅いファンドですので、他のベンチャーキャピタルのように幅広いトラックレコードを持っているわけでもありませんが、さまざまな企業や出資いたただいている地域金融機関と協力しながら、投資先の企業と地域の連携を強化し、地域DXや地方創生に貢献するべく活動しています。

 

 

 

 

始まりは3人の経営者から
独立系にないグループ力を活かしたファンドへ

 

―HIRAC FUNDの成り立ちや強みを教えてください。

 

当社の投資委員会のメンバーは、マネーフォワードの創業者とCFO、さらにマネーフォワードグループにジョインした3名のスタートアップ経営者で構成されています。

このメンバーが集まり、自身の起業やこれまでの経験を活かしながら、次世代のスタートアップに還元し、支援する目的で設立されました。

日本では経営者がファンドを立ち上げることは一般的ではありませんが、アメリカのシリコンバレーなどでは起業家や現役の経営者がファンドを運営する例が多く見られます。

これに倣って新しい事業に挑戦する姿勢を大切にしたシリコンバレーのようなスタイルの経営者による、起業家のためのファンドが1号ファンドのコンセプトです。

実際にすばらしい起業家・経営者の方を中心にLP出資いただき立ち上げることができました。

 

このような経緯なので、投資委員会メンバー自身のスタートアップとして経験したことをお伝えできることや、人脈を活かした活動ができるのが当社の強みになります。

ネットワーキングもキャピタリストとして大事な要素だととらえており、オフィスがあるというだけでなく、新しい出会いを求めてスタートアップ企業が多い港区界隈を歩き回っています。

また、ビジネスライクではなく「起業家に寄り添い、共に汗をかき、悩み成長していきたい」と考えているので、人とのつながりやご縁を大事にしています。簡単に特徴をまとめると「マネーフォワードグループのつながりを活かし、起業家に寄りそう温かみのあるファンド」という感じでしょうか。

実際に投資先のスタートアップからは、さまざまな金融機関と連携ができ、ファイナンスの支援が手厚いと評価されています。そして、他のベンチャーキャピタルとも親しくさせてもらい、金融機関の方とも良い関係を築いていると思っています。

 

また、一度投資するだけでなく、ニーズに応じたサポートや追加投資をするケースもありますので、創業時の出資だけでなく、新たなプロジェクトの開発資金を支援したり、マネーフォワードグループの人脈を活かした幅広い支援をおこなっています。

例えば広報支援です。マネーフォワードの広報と連携してプレスリリースの作成や、メディアリレーションを活かした広報露出のサポートをすることができます。

さらに法務チームも弁護士資格を有するメンバーが在籍しているため、法務上の確認がスピーディーにおこなえることも強みのひとつです。独立系のファンドでは、投資ごとに外部の弁護士や会計事務所に連絡しなければならないのですが、私たちはグループ内で多くのことを柔軟に対応できるため、スピード感をもって相談や支援ができます。

 

一般的にはファンド自体の投資家に対してはレポートを提出するのみの場合が多いですが、私たちはそれに加えて実際に手や足を動かして、スタートアップと地域の企業をマッチングするといったフォローをしています。このようなアプローチが、他のファンドとは異なり、HIRAC FUNDの価値を感じていただいている要素となり、結果的にご期待いただいていると考えています。

 

 

 

 

起業家の増加に貢献しながら
次のファンド設立を目指す

 

―貴社のこれからのビジョンを教えてください。

 

まずは2号ファンドのレイズを完了させることです。そして、私たちの目指す理念に共感していただけるパートナーと共に、次のファンドの設立に向けて進んでいきたいと考えています。

さらに理想を言えば、そこから私たちがハブとなって、地域金融機関などと連携しながら、地方とスタートアップ関連の関係構築に取り組みたいと考えています。

 

今、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなど、多くの投資家が存在します。大手企業も事業の一環としてCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を立ち上げ、スタートアップへの投資をおこなっているケースが見られます。

しかし、投資家の数に比べて、景気の悪化も相まって起業家が不足していると言われています。このような課題を踏まえて、投資家はスタートアップへの支援をより強固にしていく必要があります。そのために、私たちがスタートアップの発展をサポートし、成長させていくアクセラレーターになって、起業家の増加に貢献したいと考えています。

 

私たちのビジョンは、投資先の企業と共に成長し、最終的には上場を目指すことです。単なる投資家ではなく、パートナーとして共にマイルストーンを達成していきたいと考えています。

 

 

 

 

さまざまな企業や銀行が港区に集中
投資家にとってベストな環境がそろう

 

―貴社をはじめ親会社やグループ会社の多くが港区で活躍されています。

港区を拠点にするメリットをお聞かせください。

 

マネーフォワードの本社が現在港区にありますし、代表パートナーの古橋が創業したスマートキャンプ社も港区で設立されました。また、スタッフの多くも、港区周辺に住んでいます。ベンチャーキャピタルや投資家などは六本木などに集まっており、周辺にも大手企業や金融機関が存在します。

そのような理由から港区周辺に会社を構えると、対面でのやり取りがスムーズになるため、便利ですよね。

 

最近では麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズなどの新しいオフィスビルが増えていますし、スタートアップが集まるコワーキングスペースもたくさんあります。そうしたことから私自身も港区周辺にいることが多いです。

さらにイベント会場だけでなくコワーキングスペースとしても使える産業振興センターは、とてもありがたい存在です。私たちのオフィスは港区産業振興センターの近くにありますので、今後もお世話になります。

 

 

 

 

景気の良くないときでも
起業のチャンスはあります

 

―これから起業するという方全般に向けてメッセージをお願いします。

 

近年はスタートアップ界隈が盛り上がっていたように思います。しかし、2022年に入ってから、国際情勢や市場の影響もあり、その盛り上がりが少し落ち着いてきているように感じます。

こうした状況で周りの情報に左右されずに、自分が信じるもので起業することは、なにより大切なことだと思います。

 

投資家にとって、起業家が明確な意志を持っていることは、投資先を選ぶ上で不可欠であり、支援を判断する重要な要素だからです。通常、景気が良い時に起業するサイクルがありますが、景気が良い時に起業したくても他のスタートアップも多い訳ですから、投資家に選ばれずに支援されない場合があります。

裏を返すと、今は起業するのに良いタイミングかもしれませんし、事業を拡大するチャンスでもあると考えています。また、景気の良い時期に事業を拡大すると、上場しやすくなる傾向があります。

このような景況感も踏まえて、ここぞというときにチャンスが来たら逃さないように心がけてもらえたらと思います。また、困難な時期に共に成長していくのもベンチャーキャピタルの役割ですので、お気軽にご連絡ください。

 

 

 

 

記事投稿日:2024年3月9日