株式会社フラッグシップオーケストラ
株式会社フラッグシップオーケストラ
低コストで量産できる
動画制作サービスの新風
株式会社フラッグシップオーケストラ
代表取締役大澤 穂高さん
代表取締役
大澤 穂高さん/hodaka Osawa
日本大学商学部卒業後、医療・福祉系ベンチャーに入社。2年目に営業リーダーに就任し、3年目には当時最年少で執行役員兼事業部長を務める。2015年に退職後、株式会社フラッグシップオーケストラを設立。格安・大量動画制作サービス「ムビラボ」をはじめ、広告効果を測定できる動画広告ABテスト特化型制作・運用サービス「ムビラボアド」、youtubeチャンネル運用サービス「ムビラボ for youtube」、動画プロ人材マッチングサービス「ムビラボバンク」などの動画関連サービスを複数立ち上げる。現在は月間1,500本以上のコンテンツ制作を手掛け、約2,000社の企業に対して、さまざまな動画サービスを提供している。
●格安・大量動画制作サービス:「ムビラボ」
動画量産システムを構築し
低価格で動画制作を提供
―貴社のビジネスと事業内容をご紹介ください。
当社は動画を中心に事業を展開しており、幅広い動画ソリューションを提供している会社です。お客様の課題やニーズにあわせて、制作から動画広告、アカウントの運用、そして動画クリエイターの人材紹介まで、総合的なアプローチをおこなっています。なかでも高品質なクリエイティブを手頃な価格で提供する動画制作サービスの『ムビラボ』は、当社のコアともいえるサービスです。
このサービスは動画制作を1本2万円から月間1,500本ほどで制作しています。その価格は、業界価格の3分の1程度です。おかげさまで取引社数2,000社からご利用いただくサービスに成長しました。
当社の最大の強みは、そのような高品質な動画クリエイティブを大量生産できる「動画工場」という制作体制により、徹底的な仕組み化を図り、AIを活用したシステムをフローに取り入れることで、システマティックにクリエイティブを生み出せることです。累計5万本制作してきた動画マーケティングデータを活用することにより、各動画ニーズの専門性を高くしてマネジメントすることが可能です。さらに日本国内だけでなく、2020年からドイツを拠点に、ヨーロッパでも同様のサービスの提供を開始しました。
この取り組みによって、動画サービスの領域が広がり、グローバルな撮影や動画マーケティングを可能にしました。具体的にいうと、ドイツを拠点にディレクションや撮影を担うことで、ヨーロッパでのクリエイティブやマーケティング手法を日本でローカライズすることや、逆に現地企業が日本に向けるマーケティングのサポートが可能となっています。
仕事は人生のバックグラウンド
自分の人生軸で起業を考えた
―学生時代から起業の準備をされていたとうかがいました。起業までの経緯を聞かせてください。
起業のきっかけは、学生時代に人生設計を考えた際に、ビジネスの世界にロマンを感じ、その中でも経営者という手段が最も魅力的に感じたからです。そこから就職活動をろくにせずビジネスコンテストへ積極的に参加し、起業の準備を進めていました。
当時は大学を卒業すると同時に独立する考えでしたが、ビジネスコンテストを通じて、己の実力の無さを痛感し、まずはベンチャー企業に就職してビジネススキルを磨くことを考え、医療・福祉のITベンチャー企業に就職しました。昼夜問わずがむしゃらに働いた結果、2年目で営業リーダーに就任し、その翌年には当時最年少で執行役員に抜擢されました。成果も残すことでき、入社して4年経った26歳のときに起業するため退社しました。
実は具体的な事業プランを持っていなく、一緒にする仲間と企業理念だけがある状態でした。しかし、学生時代に志した人生プランに一切のブレはなく、起業という軸から逸れることなく、自らの道を進む覚悟がありました。私の祖父も父親も経営者であったことも影響しているかもしれません。
当社のコーポレートミッションは「“非”常識を常識に」という理念でした。現在では非常識とみなされることでも、何かのイノベーションをきっかけに、それが常識となり得ます。そして、そのような常識が概念となり、人々の生活の当たり前になっていく。そのようなサービスを一つでも多く生み出そう、という思いが込められています。
事業を開始した2015年は「動画元年」とも言われた年で、当時は現在ほど動画が賑わっていませんでした。そこで創業の第一段階として、動画メディアを立ち上げました。初めに、動画制作に関わる企業やフリーランスクリエイターとの協力を得たものの、高価格であり、供給量も安定していない状況でした。
そのため、私たちは「動画クリエイティブをオペレーティブに作れないか?」と自社での動画制作体制の構築に取り組みはじめ、現在の基盤となる動画工場体制を構築します。そのスキームを活用し、徐々に企業様向けにクリエイティブ制作の提供をおこない、2017年に自社動画メディアをクローズし、現在の事業へピボットしました。現在では、エンターテイメント市場全体を見据えた「”非”常識を常識に」するために挑戦をしています。
会社と相性の良い街を探し続けて
たどり着いたのが港区だった
―創業したのは品川区だとお聞きしましたが、港区に拠点を変えられた理由を教えてください。
会社の雰囲気が、その街のカルチャーにフィットするかどうかを重視して選びました。ランチの高い街は、離職率が上がるという興味深いデータがあります。その理由は財布の負担だけでなく、会社と街の雰囲気がマッチしていないことが理由の一つと考えられます。
当初、私たちはベンチャー企業の聖地といわれている渋谷区を選択肢に入れていましたが、どうも会社の雰囲気が合わないと感じました。それは直感的なことでしたが、社員が馴染めない環境での業務は避けたかったのです。
そして、いろんなエリアを見て回り、港区に魅力を感じました。街の雰囲気もそうですが、港区の行政が熱心にベンチャー企業を支援している姿勢が、行政サービスを通じても伝わり。この街なら、本気で良いイノベーションを生み出せると確信しました。後に日本で最も多くのベンチャー企業が誕生しているのが港区だと知り、とても納得しました。実は元々創業の地は港区ということもあり、再度魅力を感じて移ってきました。
業界の未来を見据えて掲げた
ビジネスミッションの実現へ
―動画コンテンツは成熟しつつありますが、貴社の今後の展望を聞かせてください。
私たちは「知財を生み出し続けるコンテンツサスティナブルな世界を創る」というビジネスミッションを掲げています。今、コンテンツは溢れるほど存在していますが、この状況には3つの課題があると考えています。
1つ目は動画制作の課題です。私たちは従来のやり方を否定するつもりはありませんが、それよりも、新しい手法をどんどん取り入れてイノベーションを推進していくことが重要だと考えています。
例えば、従来の広告制作は、クリエイティブディレクターがプロジェクトの全体を見ながら1から10までのプロセスを指揮し、プロデューサーやその他のスタッフが補佐するというチームが構成されてきました。しかし、この方法がWEB制作に適用されると、そのままのアプローチで問題ないのかと疑問に感じることがあります。媒体の特性を見抜き、適性能力のある少数精鋭のメンバーで取り組むことが効率的ですし、何よりもコストカットにつながります。このような課題に対して「ムビラボ」はひとつの解決策になると考えます。
2つ目は、クリエイターのへ分配です。例えば、アニメ業界は非常に盛んで人気のある業界ですが、2021年の統計だと、アニメ制作会社の4割が赤字というデータが出ています。
それにはいろんな事情があると思いますが、そのひとつにアニメ会社の収益構造に課題があり、その結果、クリエイターの収入も上げることができません。クリエイティブの根幹はクリエイターなので、クリエイターに対して、より多くの利益を還元し、成長する機会を与えなければなりません。
最後の3つ目は、コンテンツの収益に関するものです。テレビや映画以外にも、サブスクリプションやビデオオンデマンドなど、さまざまなプラットフォームが台頭し、今後はさらにコンテンツに価値が与えられる時代になってくるでしょう。
日本のエンターテインメント業界は、世界的に競争力のあるアニメや漫画などのコンテンツがあるにも関わらず、グローバル市場においてシェア・資金調達を確保しきれないという課題があります。この課題に対してコンテンツの収益化を強化すべきだと考えています。
そして、その先は日本からYouTubeのような世界的なコンテンツが誕生することを望んでいます。まだアイディア段階になりますが、当社もさまざまなコンテンツを仕掛ける用意をしています。
やりたいことは手段に過ぎない
目標があるなら明日に始めよう
―映像業界やベンチャービジネスに興味のある方にメッセージをお願いします。
当社は毎年新卒採用をおこなっていることもあり、若い方がたくさん集まってきます。特にベンチャー企業への志願者は、やる気に満ちた方や起業を志している方が多い傾向があります。
私は彼らによく、起業であろうと動画ビジネスであろうと、そしてさらに大枠の「働く」ということであろうと、それは「手段」に過ぎないと伝えています。手段が目的化している人が非常に多い印象です。やりたいことはやってみたいとわからないですし、何が自分に合っているかなどを行動する前から考えていても答えを出すことは困難です。
私は、就職や起業などをするときに大事なことは「人生における信念」に基づいて取捨選択することだと考えています。それが生きていく上での目的から逆算した選択なはずだからです。どんな人間になりたいのか?どんな人生を歩みたいのか?は抽象的でもいいので言語化し、それに信念を持って進むことができればすべては手段となるはずです。
できればできる限り大きなビジョンを描いてください。起業をしたければ、明日にでもすればいいのです。信念と目的さえあれば行為自体に恐怖はありません。急がば回れで結果的に早く成功に到達できます。そして何よりも、大義名分の下にはたくさんの仲間が集まります。自分よりも優秀な人材はたくさんいますし、彼らがなぜそこに集まるのか、それはやはり大きなビジョンがあるからで、自分が旗印になって、夢を実現する大きな存在になってください。
記事投稿日:2024年3月9日