株式会社コマースロボティクス

株式会社コマースロボティクス
身近な電子請求書システムで企業のDX化を支援する。

倉澤 良太さん

株式会社コマースロボティクス
DX事業部 SALESGRAMチーム
チームリーダー倉澤 良太さん

国内外に向けた先進的なDXサービスの開発・提供

 

 

株式会社コマースロボティクス
DX事業部 SALESGRAMチーム
チームリーダー 倉澤 良太さん
Ryota Kurasawa

[プロフィール]
入社後は半年間倉庫管理システムの営業を担当した後、受注管理システム「コマースロボ」のサービス責任者を担当。営業施策の立案/実行だけでなく、顧客と開発の間でコミュニケーションをとり、生の声を基にしたサービス改善にも取り組む。2022年より新規事業の立ち上げに参画。

 

法改正に即応できるサービスをリリース。

当社は、先進のEコマースDXや物流DXで蓄積したナレッジをB2Bビジネスに拡大させ、企業と人をつなげるビジネスプラットフォームを開発する会社です。
最近リリースしたサービスとしては、「DX請求 by SALESGRAM」という企業向けDXサービスがあります。こちらは、企業の営業、見積、契約、納品、検収、請求までの商取引全プロセスに、デジタル化されたプラットフォーム「SALESGRAM」を提供し、ペーパーレス化・データ化することで業務を大幅に効率化する「Enterprise/DXシリーズ」の第1弾になります。

 

2023年10月1日に「インボイス制度」、2024年1月に「電子帳簿保存法」がスタートしますが、企業がそれらの法改正に対応するためには「電子請求書の受取・保存システム」の導入は不可欠です。「DX請求 by SALESGRAM」は、まさにそのニーズに応える請求書受取・発行一体型の電子請求書システムです。

 

SNSのように企業間で承認・コネクトされた取引先同士でのみ送受信・データ保存ができ、専用のメーラープラットフォームで、電子請求書(PDF)と電子仕訳データの両方をセキュアーに管理できます。招待された取引先は、同サービスをすべて無料でご利用いただけます。
仕入先・購買先でデジタル化された請求データをそのまま活用し、請求書受取を完全電子化できるので、郵送による請求書の受取、入力作業、OCR*1作業、入力チェック作業、ファイリング作業が不要となります。

 

*1 OCR :Optical Character Reader。紙文書をスキャナーで読み込み、文字を認識してデジタル化する技術。

物流領域でスタート、EC事業にシフトし急成長。

創業から10期目を迎える会社ですが、当初は物流分野でコールセンターの運営や倉庫に荷物をお預かりして出荷するといった業務を行っていました。その後、倉庫管理のシステム開発に取り組み、やがてグローバルな部署も立ち上げて、海外の事業者様が日本の大手ECサイトに出店する際の出店や運営の代行を開始しました。
それ以降、EC事業は右肩上がりで成長し、今では1,000店舗以上、倉庫も約90社とお取引させていただいています。

 

請求業務に留まらない全体最適を見据えたサービス。

お話を「DX請求 by SALESGRAM」に戻しますと、電子請求書システムの市場はすでに飽和しているのですが、当社は請求業務だけの部分最適ではなく、志向としてはERP*2に近いところを狙っています。そこが、先行している競合他社のサービスとの違いです。

 

いま市場にはいろいろなサービスが展開されていますが、大半が「発行型」、つまり請求書を送ることだけにフォーカスしたものです。ただし、新しい「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」の文脈を紐解いていくと、いずれも請求書の受取の話なのです。受け取った時にどのように保存するかというところだったり、仕入先は適格請求書発行事業者なのかを見ないといけなかったりするので、受け取った請求書の処理が重要なのです。

 

当社のサービスは、一つのシステムの中で発行にも受取にも対応するものです。厳密に言えば、リリースした時点で競合するサービスは存在しない状況でした。
たまたま今回は法改正があるため請求業務向けのサービスからリリースしましたが、商流的には、見積、契約、発注、そして最終的に請求というトータルな商取引、つまり全体最適を意識した展開を見据えています。

 

*2 ERP: Enterprise Resource Planning。統合基幹業務システム。

 

中小企業でも使えるビジネスプラットフォームを。

 

ERPは2000年代から大手企業には導入されてきましたが、流通業界では「流通BMS*3」と呼ばれる統合EDI*4があり、銀行には「全銀EDI」というものがあったりで、業界によってバラバラです。よほど母体が大きくないと動かせない状況です。そうしたものを、当社は中小企業でも使えるプラットフォームとして提供させていただこうと考えました。「大手企業対中小企業はもちろん、中小企業対中小企業の取引にもご利用いただけるシステムを」という、壮大な構想を抱いています。

 

*3 BMS:Business Message Standards。流通ビジネスメッセージ標準。
*4 EDI:Electronic Data Interchange。電子データ交換。

 

一つのシステムで請求書の受取・発行に対応。

一つのシステムで請求書の受取も発行もできることの利点は、やはり双方向のやりとりが発生する法人同士であれば、全プロセスが可視化されるためトラッキングが効くようになることです。一つのシステムの中ですべての商流が追えるプラットフォームを提供しているサービスは、現在のところ他にはありません。商流の一部だけを最適化してもあまり意味がないのです。「請求はこちらのシステムで処理するけれど、見積もりは他のシステムで行う」といったことではすべてを追えなくなってしまうからです。その点、当社のサービスは電子請求書システムの市場において頭一つだけ出ていると自負しています。

 

士業を中心とした代理販売による拡販を計画中。

法人である以上、請求という行為は必ずあるはずですから、どんな業界にも需要は存在すると思います。その中でも、双方向のやりとりに使っていくものという点では、商社や卸業などの中間的なポジションにある業種、あるいは業界の構造がピラミッド型になりやすい建築業などに向いているのではないかと考えています。

 

また、販売方法については、直販ではなく代理販売を検討しています。ただし、代理店制にするというよりも、税理士や会計士などいわゆる士業の方々に「こういう利点があって料金もリーズナブルなので、ぜひクライアント様にお薦めください」といった形での展開を模索しています。

 

「DX請求 by SALESGRAM」はDXの入門編。

もちろん、「うちの会社はクラウド型のサービスなんてまだまだ」とお考えの企業も少なくないと思います。ただし、誰もが日常の業務でメールを使いこなしているわけですから、「DX請求 by SALESGRAM」も問題なく利用できます。
画面上に送信ボックスと受信ボックスがあり、送りたい請求書は送信ボックスの中に入り、相手方から受け取った請求書は受信ボックスの中に振り分けられていきます。本当にメーラー感覚で扱えます。
しかもシステム自体がデータベースの要素を持っており、特別な操作をしなくても、法令に対応した形で最低7年、最長10年の保管もできるようになっています。もちろんキーワード検索も可能です。
そういう意味で、小さなDXを行うための入門編として適していると思います。

 

今後は海外展開も視野に入れた開発を。

技術開発については、岐阜県大垣市の開発拠点で行っており、インドにもラボを構えています。
当社の強みとしては、EDIというデータ変換の技術があります。請求書のシステムも同じですが、データ配列があって特定の項目に特定の値が入ってきた際、「ここにこういう値が入ってきたら、こういうものに変換する、あるいはこちらにステータスを動かす」といった仕組みを自動化できるものを長らく提供してきました。特許も取得させていただいています。
直近では、この請求サービスをさらに次のフェーズに進めようとしています。ユーザーインターフェースを高度化して、より操作しやすいものにしていくこと。さらに、海外で展開できるものにしていくことも視野に入れています。

 

今までは国内のECの市場をメインに事業を行ってきましたが、実際はものすごく狭い領域なので、そこを抜け出そうとしています。まだ作りかけですが、海外向けのデザインを考案中です。
もちろん、海外は言語も商慣習も違うので簡単なことではありませんが、見積があって、契約があって、注文や請求に至るプロセスはほとんど同じです。人口で考えると、1億のマーケットと70億のマーケットではあまりにも差が大きい。そこで海外に向かっていこうという動きがあります。

 

また、当社は株式上場を控えており、近年は内部の体制を整えつつ上場審査に向けて着々と動いているところです。これまで国内市場向けにリリースしてきたサービスで経営を盤石にし、上場とともに海外展開を図っていくという構想を持っています。
もちろん実績面では既存のサービスが際立っていますが、今後は「DX請求 by SALESGRAM」を核として事業を推進していくことを考えています。

 

 

DXを検討する方へのメッセージ

世代によってITに対する意識は大きく異なると思います。ただし、ノートパソコンは持ち歩いていなくても、家族と連絡をとるためにスマートフォンのアプリを多用されている方は多いと思います。そういう意味で、デジタルサービスはすでに幅広い年代に受け入れられていると認識しています。

 

DXも同じです。メディアでは「業務の一部だけデジタル化しても、それは部分最適であってDX化ではない」といったことも言われていますが、「まずできることから始めましょう」というのが大前提だと思っています。小さなことからやり方を変えてみて「これならうまくやれるね」という発見があったら、また別の領域でもトライしてみるのが良いのではないでしょうか。

 

ただし、最終的に業務を効率化したりコストを軽減したりするだけでは本当のDXにはならないというのも事実です。DX化というのは、デジタルを通じて付加価値を創出すること。先を見据えて付加価値を生み出すことが大切です。なかなかそんな大きな構想を持つのは難しいと思いますから、デジタル化による効率化・合理化で余裕ができたら、その中で自社のビジネスを見つめ、「当社ならデジタルでこういうことができるんじゃないか」と、うまくデジタルとビジネスの掛け算をされてみてはいかがでしょうか。

 

記事投稿日:2022年12月21日