株式会社Treasure
株式会社Treasure
「美の新習慣」掲げ
よもぎ蒸しサロンをオープン
株式会社Treasure
代表取締役社長池田 真己さん
代表取締役社長
池田 真己さん/Masaki Ikeda
■経歴
大学卒業後、大手電機メーカーのグループ会社にシステムエンジニアとして就職。4年半後、個人事業主としての副業を始め、営業代行、キャリア支援、イベント企画運営、広報・マーケティング支援、業務改善、販売支援など様々な業務を経験。事業拡大のため、2021年2月株式会社Pleasureを設立。2024年2月には「yomogyst」とキッチンカー事業を展開する株式会社Treasureを立ち上げ、現在に至る。
●yomogyst公式HP
よもぎ蒸しサロンとキッチンカー事業で
美しく健康的な毎日を過ごすお手伝いを
―「株式会社Treasure」は、どのような会社ですか。
株式会社Treasureは、よもぎ蒸しサロン「yomogyst(ヨモギスト)」とキッチンカー事業を展開する会社です。2024年2月に設立しました。
地球環境をサステナブル(持続可能)なものにしていくためには、まずは私たち自身が心身ともに健康で安心して生活できることが大事だと考えています。 その想いをもとに、「美しく健康的な毎日を過ごし続けるためのお役に立つ」「価値あるものを多くの人に届ける」「人と人の繋がりを広げていく」「理想に向かって挑戦し勤勉に努力することの面白さを分かち合う」という理念を掲げて創業しました。
―よもぎ蒸しサロンとキッチンカー事業について、詳しく教えてください。
2024年、「美の新習慣」をテーマにしたよもぎ蒸しサロン「yomogyst」を港区東麻布にオープンしました。よもぎ蒸しとは、よもぎを煮立てた蒸気で体を温めることで、韓国では600年以上前から民間療法としても歴史があるものです。
私たちはこのよもぎ蒸しを、規定農家による国産無農薬栽培のよもぎ100%、座り心地や体にも優しくデザインされたこだわりの椅子、こだわりの空間を用意して提供しています。お一人でもお二人でも完全個室の貸し切りで利用できるサロンで、心身の疲労を癒し、リラックスしていただけます。
初回はカウンセリングも含め1時間ほどかかりますが、2回目以降は15分のよもぎタイムと前後に身支度もできるので、出勤前や仕事終わりなど、好きなタイミングで気軽に気分転換していただけるのも特徴です。
キッチンカーは、地域のイベントなどの際に出店しています。普段なら規格外で廃棄されてしまう野菜や果物を使ったメニューや、フェアトレードのコーヒーを使用したデザートを販売したり、LGBTQのスタッフが活躍したりと、SDGsの考え方を体現しています。コラボレーションにも力を入れていて、昨年からは水素で稼働するキッチンカーとして、水素エネルギーの可能性にも挑戦するようになりました。
―池田さんのこれまでのキャリアを教えてください。
大学卒業後、大手電機メーカーのグループ会社にシステムエンジニアとして就職しました。4年半経ったころからは個人事業主としての副業も始め、営業代行、キャリア支援、イベント企画運営、広報・マーケティング支援、業務改善、販売支援など様々な業務を経験しました。
2021年2月にはそうした事業をさらに拡大していくため株式会社Pleasureを設立し、2024年2月には「yomogyst」とキッチンカー事業を展開する株式会社Treasureを立ち上げました。
―起業しようと思ったきっかけを教えてください。
もともと就職した直後は、一生懸命仕事して結婚したら、きっと幸せな未来が待っていると思い、たくさん残業もしました。ただ、時間の優先順位がうまくつけられず、家庭内にすれ違いが生じて離婚した経験があります。
その後は、もっと仕事ができる自分になりたいと業務に打ち込む中で様々な経験をし、社外の方とのご縁が増えていきました。そんなご縁で繋がった方々とともに仕事の幅を広げていきたいと思ったことが、起業を決意したきっかけです。個人事業主としてキャリア支援、イベント企画運営、広報・マーケティング支援、業務改善、販売支援などの業務を請け負う中で、事業のアイデアをたくさん見つけることができました。
そんな中、2017年に私自身が体調を崩したことがきっかけで、健康に関わる仕事がしたいと思うようになりました。そのころに知った東洋医学に興味を持ち、しばらくしてよもぎ蒸しにも出会いました。短時間で簡単にさまざまな効果を得られることに魅力を感じ、この良さをもっと多くの人に体感してほしいと、よもぎ蒸しサロンをオープンすることにしたんです。
キッチンカーに関しては、感染症で不要不急の外出が制限されたころ、町内会でキッチンカーを集めたイベントに出店しないかと誘われたことが、始めたきっかけです。飲食業の経験はありませんでしたが、街を盛り上げるために自分が何かお役に立てるのなら、という思いで引き受けました。
想定外のトラブルを乗り越えたことが
その後に繋がる良い経験に
―起業後の手ごたえはいかがですか。
とても手ごたえを感じています。「yomogyst」もオープンから半年で多くのお客様にご利用いただき、雑誌にも掲載されました。キッチンカーでも様々なコラボレーションが実現できています。「yomogyst」でもキッチンカーでも、たくさんの方から「また来ます」と言っていただけるとうれしいですね。
私一人ではここまでの手応えを感じることはなかったです。周囲の方々に本当に感謝しています。スタッフや取引先をはじめ、多くの方と議論を重ね、試行錯誤を繰り返す中で、日々成長できていると感じています。
―起業後の苦労はありましたか。
例えばキッチンカー事業では、素人が作ったものと、飲食店で食べているものは全然違うということに改めて気づきました。結局、プロに入ってもらったのですが、世の中で当たり前とされるレベルのものを作る難しさを実感しながら、売り出せるクオリティの商品を作り上げていくのは、とても面白かったです。
ほかにも、出店の直前にトラブルが発生し、マリトッツォ(イタリア発祥の、パンにクリームをはさんだお菓子)の材料のパンが予定通り届かずひやひやしたことや、2日間のイベントで販売する予定のものが1日目に全部売れてしまい、夜に急いで業務スーパーを回ったこともありました。未経験だからこその泥臭い経験でしたね。
ただ、どうにかやるしかないという状況の中でやり遂げられたことは、その後に繋がる良い経験だったと今では思っています。
―昨年オープンした「yomogyst」は常設店ですね。店舗ビジネスならではの難しさや面白さはどんなところにありますか。
店を知ってもらうには広告費をかけていく必要がありますが、それ以外にも家賃、人件費、光熱費、通信費といった固定費はお客様が来なくても出ていくもので、店舗ビジネスだからこそ高くつきますよね。
時期によるお客様の増減にもドキドキしています。11月は売上がガクンと減りました。ボーナス前だから美容業界にとっては厳しい時期だとはわかってはいましたが、実際に減るとひやひやしますね。そうかと思えば、暑い夏はお客様が増えたので、意外でした。冷房で冷えを感じる方が多いからかもしれません。実際に店舗を始めてみて気づくことも多く、試行錯誤を繰り返しています。
周りの起業家は敵ではない
情報交換もして、お互いのビジネスを大きく
―起業してやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか。
やりがいを感じる瞬間はいくつかありますが、人に喜んでもらえた時が一番です。今できる最大限の価値を提供し、お客様やスタッフ、取引先の皆さんに喜んでもらえる瞬間は幸せで、次はもっと良いものを提供したいという思いがモチベーションになっています。
キッチンカー事業も、最初は飲食の素人ばかりで始めましたが、今では有名なラーメン屋さんとコラボできるまでになりました。「未経験から始まったキッチンカーが、あんな有名なお店とコラボするんだ」とみんなを驚かせるのも面白いですね。これからも周囲の予想や期待を超えていきたいです。
―起業に対するイメージは、起業前後でどう変わりましたか。
起業する前は、起業には人目を惹く奇抜なアイデアやセンスが必要だと思っていました。起業後も、競合他社との戦いや孤独との戦いを制した特別な人だけが成功できる、どこか怖い世界だというイメージもありました。
ただ実際は、才能よりも継続的な努力や泥臭い経験、忍耐力こそが重要だと気づいたんです。周りの起業家たちも決して敵ではありません。私の場合、同じ麻布地域の小売店や飲食店やヘッドスパを経営する方々と、集客方法やお客様のニーズについて情報交換を続けています。
自分の会社のことだけを考えるのではなく、周りで起業した人、これから起業する人と一緒になって、みんなでそれぞれのビジネスを大きくしていければと思っています。
―周囲の方々との出会いや繋がりを大切にしているのですね。
「逆境にくじけるな」という言葉を大切にしています。挑戦を続けていると、うまくいかないことや想定外のことにぶつかる機会も多くありますが、その逆境を乗り越えていくからこそ、成長や達成があると考えています。
私は異彩を放つような能力があるわけではありません。ただ経営者として長期的に事業の責任を果たしていく立場として、順調な時もそうではない時も謙虚に学びながら、日々の仕事をまっとうする覚悟を持っています。
―会社を経営する中で、経営に対する考え方は何か変わりましたか。
最初は「自分の家族を支えられるくらいの年収を目指せれば」という気持ちでしたが、仲間が増えていくにつれ、一緒に仕事をするスタッフや取引先も家族のような存在だと感じるようになってきました。
キッチンカーのボランティアスタッフも含め、異なる業界の方がお手伝いしてくれることも増えました。そういった方々がそれぞれの業界で活躍していくと、日本経済がもっと良くなるでしょうし、微力でも自分がそのきっかけになれたら面白いと思います。
当初の「家族を支える」というビジョンよりも自分の目標を大きく描けるようになってきましたし、だからこそ仕事の幅が広がっていると感じます。
スタッフの独立は大歓迎
新しいコラボができるかも
―港区で起業してよかったことはありますか。美容系の競合店が多い麻布をあえて選んだ理由は何でしょうか。
相談できる社長さんがたくさんいることです。社長同士の交流はずっと大事にしていますが、勉強になることばかりです。周りの会社は、うちより事業規模も大きなところばかりなので、常に刺激を受け、自分が挑戦者としていられることがありがたいです。
もともと麻布に店舗を構えたのも、知り合いの社長さんがいて、何かあっても相談できるという安心感があったからでした。それに、麻布なら「美の新習慣」というテーマにも共感してくださる方が多く来てくれそうだという狙いもありました。
―会社の今後の展望はいかがでしょうか。
店舗はさらに増やしていきたいですが、タイミングや戦略は悩みどころです。
そして、店舗数の拡大と同じくらい大事に考えているのが人材の育成です。「yomogyst」のスタッフには、独立したい人が多いんです。もちろん、独立されたら店の人手は減りますが、独立志向がある人のほうがやる気があると思うので、大歓迎です。
独立した人が「yomogyst」とは違った業種やカラーの店を出せば、いずれ新しいコラボレーションができるかもしれませんよね。私の会社や店舗を短期的に成長させるということだけでなく、もっと広く長い目で人材育成や会社の展開を考えていきたいと思っています。
―池田さんご自身が目指す姿について教えてください。
私は、日本の経済が成長し続けることに貢献したいという思いを持っています。様々な業界の方とのご縁がありますが、自分の仕事に誇りを持って一生懸命仕事をする人が増えれば、日本の経済は成長し続けると信じています。
どの業界・職種にも課題はあると思いますが、志を持って仕事をすれば仕事は面白くなると思います。私の周りにも起業したいと考えている方がたくさんいます。そんな志の高い方々とこれからも繋がりを広げつつ、ともにリーダーシップを発揮して社会に貢献していくことを目指しています。
―これから起業したい人に向けたメッセージをお願いします。
何のために起業するのかという目的を考えることが大事だと思います。起業はゴールではなく、長期的に価値を提供し続けることこそが求められます。起業には様々な困難が伴うので、「会社員が嫌だから」「楽して稼ぎたい」という理由で起業しても、うまくいかないと思います。自分のお金や時間、労力を最大限使ってまで実現したいビジョンは何なのかを考えてから、最初の一歩を踏み出してほしいですね。
そして起業を目指す際は、勢いだけでなく、経験を積んだり、謙虚に勉強したりすることも大切です。根気強く、粘り強く努力することを忘れないでください。
記事投稿日:2025年3月24日