株式会社エルザジャパン

株式会社エルザジャパン
“人の眼レベル”のリアルな見え方を実現する超高解像度XRヘッドセット

佐藤 精一さん/林本 和浩さん

株式会社エルザジャパン
佐藤 精一さん/林本 和浩さん

NVIDIA製GPUを搭載したグラフィックスボードとその関連製品、ビジュアリゼーション関連製品の販売

株式会社エルザジャパン
営業部 課長
佐藤 精一さん(以下敬称略)
Seiichi Satoh

[プロフィール]
映像出力から機械学習計算用まで最高峰のグラフィックスボード、それを搭載したGPUサーバーも担当。さらに多画面映像出力時の構成構築から、ビデオウォールシステムやサイネージディスプレイも得意とし、ご相談承ります。

 

株式会社エルザジャパン
営業部
林本 和浩さん(以下敬称略)
Kazuhiro Hayashimoto

[プロフィール]
VR・XRの産業用ヘッドセットなどを担当。リアルタイムレンダリングを行うための推奨環境構築、グラフィックスボードだけでなくワークステーションやシステムの構築をお手伝い致します。

 

グラフィックスボード製品を中心にGPU活用促進など多様なソリューションを提供。

 

佐藤 エルザジャパンではNVIDIAのグラフィックスボードを中心に、サーバー、プロフェッショナル向けストレージ、ソフトウェアなど数多くの専門性の高い製品を取り扱っています。
ビッグデータ解析やVR、AI、ディープラーニング分野においてのGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)活用促進、マーケティングやエンターテイメント分野におけるバーチャルエクスペリエンス、製造業におけるデジタルツインの実現、BIM(Building Information Modeling:3D情報にあらゆる情報・属性をプラスして構築した立体モデル)データと連携した大規模建築データのビジュアル化など各製品の連携や活用方法から、インフラ整備やオフィス環境の構築まで、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションサービスをご提案しています。

 

 

本日ご紹介する、業務向けXRヘッドセットもそのひとつで、私たちが扱うVarjo(ヴァルヨ)社のヘッドセットシリーズの中でもVarjo XR-3は“人の眼レベル”のリアルな見え方を実現する超高解像度XRヘッドセットです。

XR(クロスリアリティ)とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合する技術の総称です。Varjo XR-3はこれまでにないリアルさで、現実と仮想が自然に融合した「複合現実」の体験を可能にします。

人の眼レベルの視覚表現、遅延のない映像合成でリアルとバーチャルを融合。

林本 Varjo XR-3は、人間の眼の解像度(70 PPD※以上)を最大の視野(115度)で備える世界唯一(2022年9月現在、Varjo社調べ)の複合現実ヘッドセットです。人の眼で見るような見え方を最も広い視野で可能にするため、違和感のない没入感を実現します。

 

※PPDとは、Pixel Per Degreeの略で、視野角1度当たりに何Pixel表示しているか、という密度により解像度を示す表現です。尚、60PPDで人間の視力1.0相当と言われているため、70PPDは視力1.0より細かく見える、人の眼レベルに達する解像度、と言えます。

 

また、Varjoのビデオパススルーテクノロジーによって、映し出された仮想オブジェクトがリアルに見えることも特徴です。最近は、メガネのレンズ部分を小さなプロジェクターにして投影するメガネタイプもありますが、これはAR と呼ばれるもので、どうしても表示される映像が半透明に見えるんですね。
対してビデオパススルーは、外側にあるMRカメラが撮影する映像を内部のディスプレイに表示します。その際にMRカメラの映像に対して、レイヤーとしてCG映像を合成しますので、しっかりと存在感のある見え方が可能になります。

 

例えば、車のCG映像を実際に目の前の現実世界に存在するように、ボディの立体感や質感などのほか、周囲の状況が写り込んでいる状態までリアルに見ることができます。

 

 

さらに、多様なセンサーが搭載されています。ヘッドセット前面には、まずステレオRGBのMRカメラが搭載され、カメラから撮った目の前の映像(リアル)とCG(バーチャル)を体験者自身の目の前にある現実空間の中で融合させることができます。ほかにも、レーザーで周囲の距離を測定するLiDAR(Light Detection And Ranging)センサー、どこを見ているかを測定するアイトラッキングセンサー、手を計測しCGで手の動きを再現することができるハンドトラッキングも備えています。

 

さまざまな産業用途で活用されるXR ヘッドセット。

林本 Varjo XR-3を含むVarjo社のXRヘッドセットはプロフェッショナル向けで、トレーニング&シミュレーション、産業設計・デザイン、エンジニアリング、メディカル、研究・アカデミックなど、さまざまな産業用途で活用されています。

 

例えば、自動車業界の事例をご紹介しますと、大手自動車会社では、世界で初めてXRヘッドセットによる複合現実を使って、試作品や設計、予防安全性能の評価を行いました。
設計業務では、車の内装に現実さながらの仮想要素を重ねることで、設計者は車の製造前からデザインを実寸大で検討することができます。設計を評価するにあたって重要な外形や全体のバランスに加え、構成部分同士の整合性やレザーの質感などがリアルに見てとれるため、評価の信頼性が増す上に、大幅な時間やコストの削減につながりました。

 

また、運転手にXRヘッドセットを着用させて現実の自動車を運転する、XRテストドライブで、安全性の評価やユーザー分析を行っています。
道路や周囲の自然などを、可能な限り現実と同じ条件にしてユーザー体験調査を行うことが可能です。XRヘッドセットを装着した運転手が、仮想の車が試験車を追い越していくのを見て「あの車は本物ですか」と尋ねるほど違和感なく、仮想要素を現実に投影すること
ができます。

 

DX化が進む不動産業界やエンタメ業界にも導入。

林本 近年DX化が進む不動産業界では、マンションギャラリーでVarjo XR-3が導入され、ギャラリーの一角に「VRモデルルームXR体験サービス」が用意されました。
来場したお客様には、VRでマンション高層階の景色や部屋の内装などをリアルに体験していただけます。さらに、XRの体験として、眺望や内装の仮想空間に、現実に案内をしてくれる販売員を見ることができたり、一緒に来場した家族も見えたりして、実際に現地を案内されているようなイメージをもつことができます。

 

これは、リアルタイムクロマキーイングと呼ばれるXR-3の機能ですが、グリーンバックスクリーン上にだけVRが再現され、グリーンではない部分(人やモノ)はリアルがそのまま表示されます。この色の違いによってリアルとバーチャルを融合する、新しいXR体験を提供する機能が活用されています。このグリーンバックとの併用は、VRヘッドセットではあり得ない話で、XRヘッドセットだからこそのテクノロジーになります。

 

 

このほかにも、エンタメ業界では複合現実にアニメキャラクターが現れ、キャラクターと一緒にリアルな街にいるような体験を楽しめるイベントに活用されています。また、スーパーマーケットの商品陳列棚をXRで再現して、どの棚をどれだけの時間で見ているのかなどを調査するマーケティング用途でもご利用いただきはじめています。

 

ヨーロッパの事例になりますが、医療系の事例ですと、研修医向けの検死や解剖などのトレーニングの現場でも活用されています。人体の輪切りの3Dスキャンニングデータをサーバーで機械学習して、XRで可視化し、神経繊維まで細密に再現することができます。実際にそこに人体があるかのようにシミュレーショントレーニングが可能になります。

 

高度な描画処理を可能にするグラフィックスボード。

佐藤 ご紹介してきたXRヘッドセットは単品で動くものではなく、グラフィックスボードから出力された映像を映し出して複合現実を可能にします。
当社はもともとNVIDIA製GPUを搭載したグラフィックスボードを中心に取り扱っていまして、製品の多くがグラフィックスボードに関連した製品になっています。

 

グラフィックスボードとは、GPU(画像処理装置)が取り付けられた、3D映像や高解像度な映像の出力をするためのPCパーツです。グラフィックスボードは用途別に種類があり、皆様にも馴染みがあるのはゲーミング向けではないでしょうか。ゲームのコンピューターグラフィックスに使われています。
もうひとつは、業務用、プロ用のグラフィックスボードですね。主にワークステーションやサーバーに使われています。

 

例えば、当社の「Mobile Workstation ELSA VELUGA」は、一般的なビジネス用ノートと違いNVIDIA製のプロ用GPUが入ったノート型ワークステーションです。こちらで、機械学習の手法のひとつ、ディープラーニングなども可能です。
ワークステーションとパソコンの違いですが、パソコンといいますとコンシューマー向けで、ワークステーションというと、ハイエンドな業務用、プロフェッショナル用というイメージがありますよね。パソコンはCPUでグラフィック処理もしていますが、ワークステーションはCPUとは別にGPUが搭載されていますので、高度な計算やグラフィック処理はGPUの方で演算処理することができます。

 

私たちのグラフィックスボードの活用事例としては、医療用モニタへの採用です。医療用モニタには、かなり精度が必要になりますので、グラフィックスボードと一緒に医療用モニタを組み合わせて病院に導入していだだくケースが多いです。
MRIやCT、マンモグラフィなどもデータをとったあとに、映像にするための演算が必要なので、ハイエンドなグラフィックスボードが搭載されています。ほかにもCADなどの建築業界でもグラフィックスボードは必須ですし、ゲームセンターのゲーム機や自動販売機の液晶モニタにも採用されるなど、皆さんの身近なところで活用されています。

 

港区立産業振興センターでXRヘッドセットを体験してください。

佐藤 Varjo 社のXRヘッドセットを動かすワークステーションは、業務向け、プロフェッショナル仕様の最高峰のレベルのもので、現在、港区立産業振興センターのビジネスサポートファクトリーでもご利用いただけます。3DのCG制作、2Dのイメージ制作のほか、動画制作など、さまざまなクリエイティブを最高のパフォーマンスでカバーできるほか、さらにXRヘッドセットも動かすことができる1台となっています。
先ほどマンションギャラリーの事例でご説明したグリーンバックとの併用もご利用いただける環境になっています。

 

 

林本 VR、XR体験は、実際に体験してみないと「リアルとバーチャルが融合する」感覚がわかりづらいと思います。最近は、個人向けのVRヘッドセットも販売されていますが、それとXRヘッドセットでどう違うのか、何が違うのかとなった場合に、説明だけでは実際にどう違うのかわからないし、体験してみたくなりますよね。
現在、XRヘッドセットは業務向けとして、ビジネスの現場でしか活用されていませんので、なかなか体験することは難しい状況だと思います。
それを、港区産業振興センターの設備として、ビジネスに携わる方も、個人の方でも利用できる環境が整っていることは、とても魅力的な機会だと思いますので、是非体験してみてください。

 

記事投稿日:2023年3月10日